プラボウォ・インドネシア大統領、トランプ氏に祝意表明
(インドネシア、米国)
ジャカルタ発
2024年11月12日
インドネシアのプラボウォ・スビアント大統領は11月6日、自身のX(旧Twitter)を通じて、米国大統領選で勝利したドナルド・トランプ前大統領に祝意を表した。
同投稿で、インドネシアと米国は強固で多面的な関係性を共有する戦略的パートナーだとした。この戦略的パートナーシップは両国に利益をもたらす大きな可能性を秘めているとした上で、「このパートナーシップをさらに高め、世界の平和と安定を実現するために、緊密に連携できることを楽しみにしている」と発信した。
プラボウォ大統領のXへの投稿
国内からは対米輸出減速への懸念も
インドネシアの経済金融開発研究所(INDEF)で研究者を務めるアンドリー・サトリオ・ヌグロホ氏は、インドネシアのこれまでの経済・貿易政策は「依然として中国志向」とした。米国の対中強硬政策によって中国が米国向け輸出を減らす結果として、「インドネシア国内に安価な中国製品があふれ、国内産業がさらに落ち込む」との懸念を示した。インドネシア経営者協会(APINDO)の会長で、インドネシア商工会議所(KADIN)の副会頭でもあるシンタ・カムニダ氏も、インドネシア製品の米国への輸出が難しくなる可能性があると指摘した(11月6日付「コンパス」)。
アイルランガ・ハルタルト経済担当調整相は「インドネシアやASEAN諸国は依然として米国、欧州、中国の消費に依存している。米国の中産階級が減少すれば、インドネシア製品に対する米国からの需要が減少する」とした上で、米国大統領は国内の中産階級の育成に取り組むことが重要だと強調した(11月6日付「コンパス」)。
豊富な埋蔵量を誇るニッケルの高付加価値化政策を通じて、電気自動車(EV)などの国産化を進めるインドネシア政府は、米国が2022年8月に成立させたインフレ削減法(Inflation Reduction Act:IRA)への対応などのため、重要鉱物に関する貿易協定の締結を模索している(2023年11月15日記事参照)。また、2024年7月には、米国のホセ・フェルナンデス国務次官がインドネシアに鉱物安全保障パートナーシップ(MSP、注)への参加も呼び掛けている(7月16日付「ロイター通信」)。
(注)MSPは、米国政府が主導して、クリーンエネルギー移行に不可欠な重要鉱物資源(ニッケル、コバルト、レアアースなど)のサプライチェーン強化を確保するため、2022年6月に立ち上げたイニシアチブ。G7各国やオーストラリア、インド、韓国など15メンバーが参加する。
(大滝泰史)
(インドネシア、米国)
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