インドネシア・米国首脳会談、2国間関係を包括的戦略パートナーシップに格上げ

(インドネシア、米国)

ジャカルタ発

2023年11月15日

インドネシアのジョコ・ウィドド大統領は11月13日、米国・ワシントンでジョー・バイデン米国大統領との首脳会談を行った。

会談では、インドネシア・米国の外交関係樹立75周年を機に、両国の関係を包括的戦略パートナーシップに格上げする意向が確認された(ホワイトハウス外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、11月13日)。イノベーション、持続可能な開発、デジタルトランスフォーメーションを通じた包摂的な経済成長の促進や、インドネシアと米国の貿易投資枠組み協定(TIFA)を通じた2国間貿易の促進および経済政策に関する協力の深化に向けた協議が行われた。また、バイデン大統領は、インドネシアがOECDの正式加盟国となるための加盟手続きを開始することへの支持を示したほか、防衛面での協力強化、インド・太平洋地域における平和維持などについて話し合われた。

重要鉱物資源関連は協力強化にとどまる

今回の会談では、ニッケル、コバルト、その他の重要鉱物について、両国間で高水準のクリーンエネルギーサプライチェーンを開発し、安全で持続可能な重要鉱物資源へのアクセスを拡大するために協力していくことが示された。

インドネシア側は米国との重要鉱物貿易協定の締結に向けた協議を要望していると報道されていたが(ロイター通信2023年9月7日)、進展は見られなかった。米国で2022年8月に成立したインフレ削減法(Inflation Reduction Act:IRA)では、米国内で販売される電気自動車(EV)が税額控除の対象となるためには、EVバッテリーに含まれる一定量の重要な鉱物が北米または自由貿易協定(FTA)締結国で生産・加工されることが条件となっている。インドネシアはEV車両やバッテリーの製造拠点化を目指しているが、これまで米国との間で自由貿易協定を締結していない。

イスラエルとハマスの衝突、ガザ地区での停戦が必要だと訴え

ジョコ大統領はバイデン大統領との会談で、イスラエルとハマスの衝突について「停戦が人類のために必要だ」と述べ、ガザでの残虐行為を阻止するために米国がさらなる努力をするよう要請した(「コンパス」紙11月14日)。ジョコ大統領は、米国訪問前の11月11日、サウジアラビア・リヤドで開催されたアラブ連盟とイスラム協力機構による臨時首脳会議に出席していた。その傍ら、パレスチナのマフムード・アッバース大統領やトルコのレジェップ・タイップ・エルドアン大統領と首脳会談を行い、パレスチナ支援強化を明確に打ち出していた(大統領事務局ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、11月11日)。

(尾崎航)

(インドネシア、米国)

ビジネス短信 44af88a3e114b697