米財務省、CFIUSの罰則と執行権限強化する最終規則発表、FIRRMA以来の大型改定
(米国)
ニューヨーク発
2024年11月20日
米国財務省は11月18日、対米外国投資委員会(CFIUS)の審査手続きを向上させるとともに、罰則と執行権限を強化する最終規則を発表した。規則案は2024年4月に発表されていた(2024年4月12日記事参照)。CFIUSの根拠法である1950年国防生産法第721条を改正した2018年外国投資リスク審査現代化法(FIRRMA)の施行以来、CFIUSによる監視と執行に関する初の実質的な改定となる。最終規則は近く官報
で公示し、公示から30日後に発効する。
官報によると、規則案の発表後、財務省は728件のパブリックコメントを受け取った。パブコメの検証の結果、規則案に盛り込まれていた、CFIUSからのリスク軽減案に対する取引当事者の回答期限を原則3営業日後とする規定を削除し、最終規則では代わりに、CFIUSスタッフ議長(注)が3営業日以上の期限を設定できると規定した。これ以外は規則案からの変更はない。
財務省の発表によると、今回の最終規則によって変更する点は次のとおり。
- CFIUSに通知されていない取引について、CFIUSが取引当事者などに提出を求めることができる情報の種類を拡大する。
- CFIUSスタッフ議長は、審査や調査を法令で定められた期間内に完了できるよう、CFIUSからのリスク軽減提案に対する取引当事者の回答期限を適切に設定できる(ただし、3営業日以上)。
- 取引当事者の虚偽記載や不作為により、民事の罰金が科され得る範囲を拡大する。これには、虚偽記載や不作為がCFIUSの審査や調査の外で発生した場合や、CFIUSの監視、コンプライアンス機能との関連で発生した場合を含む。
- CFIUSの法律、規則、ならびに同法および規則によって認められた合意、命令、条件に違反した場合に科され得る民事罰の最高額を大幅に引き上げる。また、リスク緩和の合意、条件、命令に違反した場合に科され得る罰金の上限を決定する新たな方法を導入する。
- CFIUSに通知されていない取引に関連する国家安全保障リスク評価など、CFIUSが召喚権限を行使できる事例を拡大する。
- 罰則の再考を求める嘆願書をCFIUSに提出する期間と、CFIUSがその嘆願書に回答する期間を延長する。
最終規則の発表に際し、ポール・ローゼン財務次官補(投資安全保障担当)は「この規則は、CFIUSの審査中に生じる国家安全保障リスクにより迅速かつ効果的に対処するためのより鋭いメスをわれわれの投資審査体制に持たせることで、米国の国家安全保障を強力に守るCFIUSの能力を強化するものだ」と述べた。
(注)CFIUSの議長は財務長官が務めるが、CFIUSへの通知の受理、処理、調整などは、財務省の投資審査・調査室長であるCFIUSスタッフ議長が行う。
(赤平大寿)
(米国)
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