米財務省、CFIUSの罰則と執行権限を強化する規則提案

(米国)

ニューヨーク発

2024年04月12日

米国財務省は4月11日、対米外国投資委員会(CFIUS)の手続きを向上させるとともに、罰則と執行権限を強化する規則制定案公告(NPRM)を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。財務省の発表によると、今回のNPRMは、米国の開かれた投資政策と矛盾することなく、CFIUSの国家安全保障上の目的を達成する能力の向上が目的だとしている。CFIUSの権限を強化した2018年外国投資リスク審査現代化法(FIRRMA、2018年9月3日付地域・分析レポート参照)以降、CFIUSによるリスク緩和と執行に関する条項の、初めての実質的な改定となる。近く、官報PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)で公示する。

今回提案された規則案には、CFIUSによる権限の拡大や罰則の強化だけでなく、審査や調査に関する期間の延長なども含まれている。近年、CFIUSが法定期間内に審査や調査を終えられないことが課題とされていた。NPRMの主な内容は次のとおり。

  • CFIUSに通知されていない取引について、CFIUSが取引当事者などに提出を求めることができる情報の種類を拡大する。
  • CFIUSが法定期間内に審査や調査を終了できるよう、取引当事者に対して、CFIUSからのリスク軽減提案への回答に期限を設定する。
  • 取引当事者の虚偽記載や不作為により、民事の罰金が科され得る範囲を拡大する。これには、虚偽記載や不作為がCFIUSの審査や調査の外で発生した場合や、CFIUSの監視、コンプライアンス機能との関連で発生した場合を含む。
  • CFIUSの法律および規則、ならびに同法および規則によって認められた合意、命令、条件に違反した場合に科され得る民事罰の最高額を大幅に引き上げる。また、リスク緩和の合意、条件、命令に違反した場合に科され得る罰金の上限を決定する新たな方法を導入する。
  • CFIUSが召喚権限を行使できる事例を拡大する。これには、CFIUS に通知された取引の当事者でない第三者からの情報取得を求める場合や、CFIUSに通知されていない取引に関連する国家安全保障上のリスク評価に関わる場合を含む。
  • 罰則の再考を求める嘆願書をCFIUSに提出する期間と、CFIUSがその嘆願書に回答する期間を延長する。

NPRMの発表に際して、ポール・ローゼン財務次官補(投資安全保障担当)は「これらのアップデートは、監視、コンプライアンス、執行業務の過程で得られた教訓を反映したものであり、2022年のCFIUSの執行と罰則ガイドラインに基づくものだ」と述べた。財務省は2022年10月に、CFIUSの執行と罰則に関する初めてのガイドラインを発表している(2022年10月21日記事参照)。

今回発表された規則案に対するコメントは、NPRMが官報で公示されてから30日以内に提出する必要がある。

(赤平大寿)

(米国)

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