スエズ運河通航船舶数、9月の減少率が初の60%台に
(エジプト、イエメン)
カイロ発
2024年10月09日
現地メディアEgypt Todayによると、エジプトのアブドゥルファッターハ・エルシーシ大統領は9月29日、警察学校卒業式のスピーチで、過去7~8カ月間でスエズ運河の収入が50~60%、金額にして60億ドル以上減少したと述べた。
フーシ派が紅海で商船への攻撃を開始した2023年11月(2023年12月25日記事参照)以降、減少したままのスエズ運河通航船舶数に回復の兆しがみえない。
IMFと英国オックスフォード大学が共同で開発したポートウォッチ(2024年5月17日記事参照)のデータから得られた、貨物船とタンカーを合わせた通航船舶数の月ごとの1日平均は2024年9月が29.7隻と、フーシ派の商船攻撃以降初めて30隻を下回り、前年同月比60.2%減と、初めて前年同月比の減少率が60%を超えた。前年同月は1日平均74.5隻だった(添付資料図1参照)。
通航料金は船舶と積荷の種類、スエズ運河庁独自の控除基準が反映されたスエズ運河トン数(SCNT)などに応じて算出されることから、通航船舶数が少なければその分、通航料収入も減る。
国連開発計画(UNDP)は2024年5月8日付の報告書で、エジプトの主要な外貨収入源である観光業とスエズ運河の2023/2024~2024/2025会計年度(2023年7月~2025年6月)の2年間の収入額は約99億ドル減少し、地域の紛争が激化した場合には137億ドル減少すると推定している。
商船は喜望峰へ迂回しており、喜望峰を通過する貨物船とタンカーの2024年9月の1日平均通航船舶数は77.1隻と、前年同月の55.6隻から38.7%増加した(添付資料図2参照)。
(西澤成世)
(エジプト、イエメン)
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