米ユタ州セミナー、州別ビジネスランクトップ獲得の同州の魅力を知事が語る
(米国、日本)
調査部米州課
2024年10月04日
ジェトロは10月3日、米国ユタ州のビジネスや投資環境を紹介するセミナーを東京で開催した。同州のスペンサー・コックス知事(共和党)、ジェトロの石黒憲彦理事長らが登壇した。会場には米国でのビジネス展開に関心を持つ製造業を中心とした日本企業などから約70人が参加した。
開会あいさつで、石黒理事長はユタ州のビジネス環境や経済見通しに関し、全米でも高い評価を受けていることを説明した。また、知事や州議員のリーダーシップによる同州のビジネスフレンドリーな政策、豊富なインセンティブ、低い事業コスト、質の高い労働力など、同州の魅力を述べた。米国進出では、コックス知事が率いる州政府やワールド・トレード・センターなど州内のビジネス支援機関と連携して、プロジェクトを進めることが重要だと語った(注1)。
基調講演を行ったコックス知事は「ユタ州は、1,000以上の評価基準を考慮したランキングでも、全米ナンバーワンの州に2年連続で選ばれている」とし(注2)、同州にある航空宇宙、防衛、フィンテック、生命科学などの代表的な産業を紹介しつつ、ビジネス上の魅力を語った。その上で、同州はビジネスを行うのに最適な場所であるだけでなく、スキーやマウンテンバイク、ゴルフなどのレクリエーション面でも、地球上で最も生活しやすい環境と述べた。
さらに、「日本はユタ州にとって5番目に大きな輸出市場、かつ、11番目に大きな輸入元だ」「投資についても、ユタ州における外国からの直接投資額で日本は1位に位置している」として、日本と同州の関係の強さをアピールした。
同州の知事室経済機会局経済成長担当マネジングディレクターのジム・グローバー氏は、同州の教育水準の高さや、隣接するカリフォルニア州やネバダ州など米西部への輸送に強みがある物理的立地をはじめ、ビジネスの強みを紹介した。
セミナーでは、同州に拠点を有する日系企業の講演も行われた。三菱重工業(MHI)のマイケル・ダッカー最高経営責任者(CEO)は、同社がユタ州で行っている水素事業に関し、米国で岩塩層内のエネルギー貯蔵ハブ開発・運営を手掛けるマグナム・デベロップメント(本社:ユタ州ソルトレークシティー)との協働(2022年6月20日記事参照)や、州政府、米国エネルギー省(DOE)から受けた支援などに触れ、同州の開発プロジェクトの魅力と、州が呼び込んだ10億ドルにも上る投資、そこで同社が果たす役割を語った。
(注1)米国は、各州政府が独自に外資誘致インセンティブや立地を支援するプログラムを有する。ジェトロは、米国への進出や拠点拡大時、州政府などと連携した工場設立や研究開発拠点の設立の立地選定支援サービスを提供しているほか、ユタ州を含む各州政府から日本企業へのブリーフィング動画を公開している。
(注2)USニュースのベスト・ステート・ランキング(2024年)で、ユタ州は2年連続の全米1位、米国立法交流協議会(ALEC)による経済見通しランキング(4月9日)では、17年連続で1位となっている。また、USニュースの成長する州ランキング(2023年)でユタ州は第3位、その算定要素の1つである若年層人口の成長率は1位となっている。
(谷本皓哉)
(米国、日本)
ビジネス短信 311cc8144dd1eb33