米国防総省、CHIPSプラス法に基づきインテルに30億ドルを助成
(米国)
ニューヨーク発
2024年09月19日
米国国防総省と商務省は9月16日、CHIPSおよび科学法(CHIPSプラス法)の下、米半導体大手のインテルに対し、30億ドルの補助金を供与すると発表した。
今回の助成は、CHIPSプラス法の「セキュア・エンクレーブ」プログラムの下で行われる。同プログラムは、米国政府向けの信頼できる先端半導体の製造拡大を目的としており、国防総省の発表によると、インテルへの助成によって、電子機器の製造を支援し、先端半導体の米国内でのサプライチェーンを強化する。これまでCHIPSプラス法に基づく助成は商務省が中心になって行ってきたが、今回は、商務省と国防総省の間の協定に基づき、国防総省が主導して行う。
なお、今回の国防総省からの発表とは別に、商務省は3月にインテルに対して、CHIPSプラス法の下、アリゾナ州、ニューメキシコ州、オハイオ州、オレゴン州での先端ロジック半導体製造施設の新設や既存施設の拡張などのため、最大85億ドルを助成すると発表している(2024年3月22日記事参照)。
今回の助成発表に対してインテルは、最先端のロジック半導体を設計、製造する唯一の米国企業として、国防総省と協力して米国の技術システムの強靭(きょうじん)性を高めることに貢献するとのプレスリリースを発表した。同社子会社インテル・フェデラルのプレジデント兼ゼネラルマネージャーのクリス・ジョージ氏は「今回の発表は、米国内の半導体サプライチェーンを強化し、米国の先進製造業、マイクロエレクトロニクスシステム、プロセス技術(注)におけるリーダーシップを維持するという米国政府との共同コミットメントを強調するものだ」と述べている。
なおインテルは、人工知能(AI)がブームになる中で競合他社との競争に苦戦し、2024年第3四半期(7~9月)の売上高見通しが市場予想を下回った上、1万5,000人を超える人員削減も明らかにするなど、業績不振が伝えられている(ブルームバーグ8月2日)。
(注)半導体の生産プロセスの設計、改善を中心とした技術。
(赤平大寿)
(米国)
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