ブラジルの人口、2041年以降は減少傾向へ
(ブラジル)
サンパウロ発
2024年09月09日
ブラジル地理統計院(IBGE)は8月22日、2070年までの人口増加率の予測値(注1)を発表した。それによると、ブラジルの人口は2041年を境に減少傾向に入ると予測している(添付資料図1参照)。また、2000年に2.32だった合計特殊出生率は2023年に1.57、2040年には1.44に低下するとしている(添付資料図2参照)。
合計特殊出生率の低下について、IBGEのイザベル・マリ人口研究・分析担当は「低下傾向は1960年代からみられ、都市化の進行や、女性の労働市場への参入、女性の教育水準上昇、避妊薬の普及などが理由として挙げられる」と説明している。
高齢者層(60歳以上)の全人口に占める割合は、2000年の8.7%から2023年は15.6%に増加した。2070年には37.8%に達すると予測している(添付資料図3参照)。一方、生産年齢人口(15歳以上64歳以下)の割合は、2023年に69.1%、2050年に63.2%、2070年には57.0%に減少するとしている(添付資料図4参照)。ブラジルを代表するシンクタンクおよび高等教育機関のジェトゥリオ・バルガス財団(FGV)のシルビア・マトス教授は8月28日付の現地紙「バロール」のインタビューで、これまでは全人口における生産年齢人口の比率は年平均で0.4%成長していたため、1人当たりGDPも増加していたが、生産年齢人口の成長が止まれば、1人当たりGDPの増加も困難になると説明した。
さらに、FGVのエコノミストのファビオ・ジアンビアジ氏は9月1日付の現地紙「ポデール360」のインタビューで、生産年齢人口の割合減少について「年金制度を維持することはますます困難になる」と強調し、その対策として退職年齢の引き上げを含む新たな年金改革の必要性を訴えた(注2)。
(注1)予測値は政策の基礎資料として作成され、2000年、2010年、2022年の国勢調査のほか、民事登記所統計、死亡情報システム統計、出生情報システム統計を基に計算されている。
(注2)2019年11月に年金の受給開始最低年齢は原則として、男性65歳、女性62歳に設定した年金改革が公布された(2019年10月24日記事参照)。
(エルナニ・オダ)
(ブラジル)
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