米共和党議員、国防長官に中国軍関連企業リストへのCATL掲載を要請
(米国、中国)
ニューヨーク発
2024年09月02日
米国連邦議会上下両院の共和党議員は8月28日、国防総省のロイド・オースティン長官に対して、中国のバッテリーメーカーの寧徳時代新能源科技(CATL)を米国で活動する中国軍関連企業のリストに掲載するよう要請する書簡を送付した。今回の書簡には、国防総省にCATLのリスト掲載を行わせる法的な強制力はない。
書簡を送付したのは、マルコ・ルビオ上院議員(フロリダ州)とジョン・ムーレナー下院議員(ミシガン州)の2人の共和党議員だ。ルビオ議員は上院外交委員会の委員などを務め、ムーレナー議員は下院「米国と中国共産党間の戦略的競争に関する特別委員会(中国特別委員会)」の委員長などを務めている。
国防総省は2021年度国防授権法(NDAA)1260H条に基づき、米国で活動する中国軍関連企業のリスト(1260H条リスト)をとりまとめている。同リストには8月時点で46社(注)が掲載されており、同省は2026年6月30日以降、これら事業体の製品の調達が禁止される。ただし、2024年度NDAA154条で別途、同省によるCATLなど中国企業6社の製品の調達は禁止されており、仮に今後CATLが1260H条リストに掲載されたとしても、追加的な影響は限定的とみられる。米国通商専門誌「インサイドUSトレード」(8月29日)は、電気自動車(EV)の販売で首位を走るテスラに加え、フォードがCATLと契約関係を有するほか、ゼネラルモーターズ(GM)が契約を進める動きがあるとして、「ルビオ議員とムーレナー議員は、1260H条リストにCATLを掲載することで、CATLは信用できないというメッセージを米国企業に送りたいと考えている」と指摘している。
なお、ムーレナー議員は2024年6月にも、CATLなど中国企業の製造するバッテリーの米国への輸入禁止を求める書簡を送付したほか(2024年6月7日記事参照)、国土安全保障省(DHS)による調達禁止を定める法案を提出しており(2024年6月11日記事参照)、CATLを筆頭に中国のバッテリーメーカーへの圧力を強めている。
(注)併せて指定されている子会社や関連組織を除く。
(葛西泰介)
(米国、中国)
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