欧州産業連盟、春季経済見通し発表、景気回復の兆し
(EU)
ブリュッセル発
2024年06月13日
ビジネスヨーロッパ(欧州産業連盟)は6月5日、「春季経済見通し」を発表し、EUの実質GDP成長率について、2024年は前年比1.2%、2025年は1.8%と予測した(プレスリリース
)。2024年は、企業の投資や輸出の回復の遅れから、前回予測(2023年11月17日記事参照)よりやや下方修正した。
EU経済は、2023年の成長率は0.5%、2024年第1四半期(1~3月)は0.3%と低迷が続くが、2024年に底を打つと予測。製造業はエネルギー価格の高騰による生産や輸出不振に直面し、地政学的変化など下振れリスクはあるが、2024年は個人消費および政府支出の増加が成長を牽引するとした。個人消費は、インフレの低下や、実質賃金の上昇、低水準を維持する失業率を背景に上向き続けるとみる。一方、政府支出は、EUの財政規律枠組みの改革法(2024年2月21日記事参照)などにより、2025年は伸び悩む見込み。
回復が遅れている企業の投資は、2024年は前年比0.6%増と低水準が続くが、欧州中央銀行(ECB)の金利引き下げ(2024年6月7日記事参照)を背景に、2025年に大きく伸びる(3.4%増)と予測。輸出も世界的に貿易量が増加することから、2024年の1.4%増から、2025年は3.2%増と回復軌道に乗る見込みだ。
こうした現況を踏まえ、EUに対し次の提言を行った。
- 特に製造業で大きな負担となっているエネルギー価格の高騰や規制緩和に早急に対応する。
- ECBはインフレ率を目標の2%まで低下させるため、慎重な金利政策運営を続ける。欧州委員会は財政規律枠組み改革法に基づき、加盟国の財政健全化を効果的に支援する。
- イタリアのエンリコ・レッタ元首相の提言(2024年4月25日記事参照)などに基づき、単一市場の統合深化や加盟国の構造改革支援を含む長期的な成長戦略を策定し、競争力強化に取り組む。
(滝澤祥子)
(EU)
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