米バージニア州知事、カリフォルニア州のEV販売義務から離脱を発表
(米国)
ニューヨーク発
2024年06月07日
米国バージニア州のグレン・ヤンキン知事(共和党)は6月5日、カリフォルニア州が2022年に定めたライトビークル(乗用車、小型トラック)に対する環境規制の「アドバンスド・クリーンカーズII(ACCII)」規制から離脱すると発表した。
ACCIIは、2026~2035年製車を対象に、州内で販売するライトビークルのゼロエミッション車〔ZEV:プラグインハイブリッド車(PHEV)、バッテリー式電気自動車(BEV)、燃料電池車(FCV)の3分類〕の新車販売台数に占める販売割合を義務付け、温室効果ガス(GHG)排出基準などを定めたもの(2022年9月1日記事参照)。ZEV販売割合は2026年に35%、2035年には100%に引き上げられる。2024年6月時点でバージニア州を含め、合計登録台数で全米の3割以上に当たる14州が採用を決定している(注1)。
バージニア州では、ラルフ・ノーサム前知事(民主党)政権下の2021年に、州議会が2015~2025年製車を対象とする「アドバンスド・クリーンカーズI(ACCI)」規制を採用することを認める法案を可決。2024年2月には同州の大気委員会がACCII採用に関する最終規則を発表していた。これに対し、ジェイソン・ミヤレス州司法長官は、ACCIの採用がACCIIの採用を義務付けるものではないとの見解を示し、バージニア州はカリフォルニア州規制を採用する法的義務はないと判断した。今回の知事声明で同州は、ACCIが失効する2024年12月31日の翌日以降、連邦政府の定める排出基準(2021年12月24日記事参照)に従うとしている(注2)。
同州の自然・歴史資源局のトラビス・ボイルズ局長は、EVは従来の内燃機関搭載車両よりも高価で、バージニア州の自動車販売台数に基づくと年間の追加コストは7億7,000万ドルにも達する可能性があり、消費者に重大な経済的影響を与えると指摘し、今回の決定を支持した。また、ヤンキン知事は「バージニア州は再び独立を宣言する。今回は、州から約3,000マイル離れ、選挙で選ばれていない指導者たちが課した誤ったEV義務化からの独立だ」「政府が人々にどのような車を購入できるかできないかを指示するという考えは根本的に間違っている。バージニア州民は、家族や企業のニーズに最も適した車を選択する自由に値する」と述べた。
(注1)連邦大気浄化法(CAA)177条に基づき、同法209条により一定条件の下でカリフォルニア州に認められている連邦規制に対する適用除外を、同州以外の州が採用することを認めている。
(注2)今回の声明では、今後の州内の手続きについては明記されていない。
(大原典子)
(米国)
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