サプライチェーン強靭化諮問委員会に関する大統領令発表、2024年末に大統領へ報告書提出

(米国)

ニューヨーク発

2024年06月18日

米国のジョー・バイデン大統領は6月14日、サプライチェーン強靭(きょうじん)化諮問委員会に関する大統領令外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。その中で、同委が、2024年末までに大統領へ提出する報告書の詳細などを定めた。

バイデン大統領は就任直後の2021年2月に、安全保障上重要となる製品のサプライチェーンを強化する大統領令を発表し(2021年2月26日記事参照)、その後2023年11月に、サプライチェーン強靭化諮問委員会の設立などを定めた施策を発表した(2023年11月28日記事参照)。今回の大統領令は、この一連の流れに続くものとなっている。11月の発表では、同委が4年ごとに国家安全保障や経済安全保障にとって重要な産業についてサプライチェーンを見直し、第1回の大統領への報告を2024年12月31日までに行うことが定められていたものの、その後、詳細が発表されていなかった(米通商専門誌「インサイドUSトレード」6月14日)。今回の大統領令により、同委は次の点を踏まえて大統領へ報告する。

  • 重要製品における民間投資の誘致・維持のために必要な連邦政府のインセンティブ、および連邦調達規制の改正の可能性
  • 重要分野におけるグローバルサプライチェーンを強靭化する経済枠組みなど、米国が同盟国やパートナー国に関与する、外交、経済、安全保障、国際開発、貿易などにおける戦略計画の策定
  • サプライチェーンの強靭性、安全性、多様性、持続可能性、堅牢性を支援するための米国内および国際的な貿易ルールと通商協定の改革
  • 重要製品などの国内産業基盤強化に必要な教育や労働力の改革
  • 連邦政府によるサプライチェーン政策が、小規模企業・家族経営の中小農業の支援、独占防止、重要インフラ強化、労働者の権利と質の高い雇用の確保、気候や健康・環境に及ぼす影響への配慮、経済的に困窮している地域の経済成長の促進、全米に行きわたる経済成長、を確実にするための措置

バイデン政権は通商政策において、サプライチェーンの強靭化を労働者の保護と並んで重要視している。今回の大統領令のほか、サプライチェーンの強靭化に関する政権の取り組みには、商務省が管轄するサプライチェーン競争力諮問委員会や(2024年6月17日記事参照)、同省による、インド太平洋経済枠組み(IPEF)のサプライチェーン協定で定められた重要分野策定のためのパブリックコメントがある(2024年6月5日記事参照)。米国通商代表部(USTR)も、サプライチェーンを強靭化する貿易・投資政策策定のためにパブリックコメントを募集していた(2024年6月7日記事参照)。商務長官やUSTR代表も、サプライチェーン諮問委員会のメンバーとなっている。

(赤平大寿)

(米国)

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