麻婆豆腐と広島県産日本酒のペアリングイベント、成都市で開催
(中国)
成都発
2024年06月10日
広島県(注)と日本産酒類を中国に輸出し、中国国内での販売などを行うSake RD(本社:東京都)は6月4日、四川省成都市で麻婆豆腐(マーボー豆腐)と四川料理に合う同県産日本酒のペアリングイベント(以下「同イベント」)を開催した。
麻婆豆腐発祥の店とされている陳麻婆豆腐の総本店を会場とし、四川省美食家協会、成都市調理協会のほか、成都市の一般来場者など約30人が参加した。同イベントは、中国の西南地域における広島県産の日本酒の認知度向上および販路拡大に向けて実施したもの。広島県産の複数の日本酒が提供され、麻婆豆腐を始めとする同店四川料理とのペアリングが実施された。
同イベントに日本酒を提供した同県酒造の1社である今田酒造の杜氏、今田美穂代表取締役は「四川料理に合うように、強めの酸味を特徴とする日本酒『と』を開発した」と語った。また、今田代表取締役は「ほかにも伝統的な手法で造った日本酒を用意してきた。四川料理とのペアリングを現地の方に試してもらえる貴重な機会と捉えている」と評価した。
これまで、四川料理と日本酒のペアリングイベントに複数回参加してきたという四川省美食家協会の麦建鈴会長は「今回のイベントで提供された『と』と麻婆豆腐の組み合わせは、酒と料理の味が互いに引き立て合っており、最も相性が良い」と語った。
一般来場者からも「イベントに参加する前は、麻婆豆腐と日本酒が合うはずがないと思っていたが、実際に試してみるとそんなことはないと思えた」などとの声が聞かれた。
ペアリングイベントの様子(ジェトロ撮影)
麻婆豆腐と日本酒「と」(ジェトロ撮影)
ペアリングイベントのメニュー(Sake RD提供)
農林水産省の発表によると、日本から中国への農林水産物・食品の輸出額(2023年)のうち、日本酒を含むアルコール飲料は品目別で1位の322億円となっているが、過去最高を記録した前年からは18%減少した。
中国の飲食店で日本酒が提供されるのは、多くは日本食レストランが中心となっており、そのほかの販路開拓は道半ばだ。他方で、成都市を含めた中国国内の中華レストランでは、地元産の酒類のほか外国産ワインも好まれており、その消費量も多い。同イベントを通じて、中華レストランにおける日本酒のニーズを発掘することで新たな販路開拓につながり、ひいては日本から中国へのアルコール飲料の輸出の回復に寄与することが期待される。
(注)広島県と四川省は1984年9月に友好連携を締結しており、四川省にとっては初めて友好都市となった日本の自治体。同県は成都市に広島・四川経済交流事務所を設置しており、同イベントも同事務所が企画・運営にあたった。なお、同県は、2023年10月に成都市で初めて「広島日本酒商談会」を開催した(2023年10月23日記事参照)
(内田剛)
(中国)
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