1~3月の輸出入はともに前年同期比2桁増、米国向け輸出が好調

(ベトナム)

ハノイ発

2024年05月13日

ベトナム税関総局によると、2024年第1四半期(1~3月)の輸出は928億8,078万ドル(前年同期比16.8%増)、輸入は850億8,012万ドル(14.0%増)で、輸出入ともに前年同期を上回った。海外需要の高まりから輸出が伸び、それに伴う生産拡大準備などで部品や材料、エネルギー資源の輸入も増加したとみられる。貿易収支は78億67万ドルの黒字だった。ベトナムの貿易額はコロナ禍からの反動により、2021年11月から2022年8月ごろまで、おおむね前年同月比10%以上の伸長が続いたが、同年秋ごろから2023年半ばにかけて世界経済の減速により伸びが鈍化した(2024年2月1日記事参照)。2023年9月以降(注)は、前年同月比でプラス傾向が続いている(添付資料図参照)。

2024年第1四半期の貿易を主要国・地域別にみると、輸出は1位の米国が257億7,208万ドル(前年同期比24.1%増)だった。2位の中国は131億801万ドル(8.7%増)、3位の韓国は63億6,440万ドル(8.5%増)だった(添付資料表1参照)。上位10カ国全てが前年同期比で増加した。1位の米国への輸出は、最大輸出品目であるコンピュータ電子製品・同部品だけでなく、2023年に停滞した縫製品や履物といったアパレル関連も復調した。

輸入は、1位の中国が305億2,335万ドル(前年同期比29.0%増)、2位の韓国が125億5,346万ドル(2.0%増)、3位の日本が55億142万ドル(4.1%増)と続いた(添付資料表2参照)。1位の中国からの輸入は、機械設備・同部品や織布・生地などの生産財を中心に増加しており、今後の国内の生産活動の拡大に向けた動きとみることができる。

対世界輸出を主要品目別にみると、1位はコンピュータ電子製品・同部品、2位は電話機・同部品、3位は機械設備・同部品だった(添付資料表3参照)。上位10品目全てが前年同期比で増加した。また、9位のビデオカメラ・同部品は前年同期比72.9%増と最も増加率が高かった。ベトナムのビデオカメラ・同部品輸出の64.4%を中国が占める。

輸入は、1位がコンピュータ電子製品・同部品、2位が機械設備・同部品、3位が織布・生地だった(添付資料表4参照)。上位10品目のうち9品目が前年同期比で増加。また、10位の石炭は35.4%増と大きく拡大した。猛暑による電力需要の増加に伴う発電の増強が要因とみられる。国の電力事業を担うベトナム電力総公社(EVN)によると、2024年第1四半期の発電量は前年同期比11.8%増の694億キロワット時(kWh)で、中でも石炭火力による発電量は42.7%増の400億kWhだった。

(注)旧正月(テト)休暇の影響があった2024年2月を除く。

(細川雄貴)

(ベトナム)

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