台米貿易イニシアチブの第2段階交渉、農業・労働・環境について議論継続

(台湾、米国)

調査部中国北アジア課

2024年05月08日

台湾の行政院経貿談判弁公室は5月3日、「21世紀の貿易に関する台湾・米国イニシアチブ」(注1)の第2段階合意に向けた2回目の対面交渉を終えたと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。今回の交渉では、2023年8月に首都ワシントンで行われた第1回交渉と同様、農業、環境、労働の3分野について重点的に議論を行った。

交渉について、鄧振中総談判代表は「農業分野では、パイナップル、マンゴー、ソーセージ、豚肉でんぶ(注2)について、米国への輸出許可を申請している。いずれも輸出先の多角化が必要だ。特にパイナップルとマンゴーは中国が輸入を停止しており、できるだけ早期に米国への輸出を実現させたい」とした。

環境分野に関しては、グリーン企業の推進や炭素排出削減など、貿易と環境に関する協力の深化について議論を行った。労働分野については、グローバルサプライチェーンでの強制労働の根絶といった、国際的に認められた労働権益をどのように保障するかが議題となった。

鄧振中総談判代表は「第2段階合意までのスケジュールは未定だが、現状では双方に解決しなければならない課題があり、詳細をさらに議論していく必要がある」と述べた。

(注1)台米貿易イニシアチブは2023年5月18日に第1段階の合意が発表され、6月1日に米国在台湾協会(AIT)と駐米国台北経済文化代表処(TECRO)が協定に署名した。2023年8月には第2段階合意に向けた第1回交渉が首都ワシントンで開催された(2023年8月22日記事参照)。

(注2)「豚肉でんぶ」(中国語で「肉鬆」)とは、豚肉を原料にした振りかけ状の食べ物を指す。

(江田真由美)

(台湾、米国)

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