第1四半期のGDP成長率、前年同期比2.7%、2024年通年の見通しは2.5~3.5%に据え置き

(香港)

香港発

2024年05月24日

香港特別行政区政府は5月17日、2024年第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率の確定値を前年同期比2.7%と発表した。同月2日に発表した速報値からの修正はなかった(2024年5月10日記事参照)。また今回、2月28日に発表した2024年通年の実質GDP成長率見通し(2.5~3.5%)も据え置きとした(2024年3月7日記事参照)。2024年第1四半期のGDP成長率の詳細は香港政府が公表した「Press releasePDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」を参照。

香港政府経済顧問の梁永勝氏は、2024年通年の実質GDP成長率見通しについて「サービス輸出は、政府が推進するメガイベントに加え、インバウンド観光のさらなる回復により、下支えされるだろう。財の輸出は、地政学的な緊張の高まりによる不確実性が高いものの、外需の好転が続けばさらに改善するだろう」との見解を述べた。内需に関しては「雇用者の所得増加と政府による消費活性化策が個人消費を押し上げるが、香港居住者の消費パターンの変化(注)が課題となるだろう」との見方を示した。

香港大手銀行の大新銀行のチーフエコノミスト兼ストラテジストの温嘉煒氏は「(財の)輸出の回復が2024年の経済回復を支えているが、中国本土の経済状況や米国の対中関税引き上げなどによる影響を注視すべきだ。また、(サービス貿易での)旅行サービス輸出が旅行サービス輸入を上回ったのは、来港客のインバウンド消費が香港居住者のアウトバウンド消費を下回った証左だ。経済成長率を押し上げるためにも、政府は来港客や香港居住者の域内消費喚起策を検討する必要がある」との分析を示した(「経済日報」5月18-19日週末版)。

(注)香港居住者が海外での消費と買い物目的で中国本土を訪れて消費をする「北上消費」に消費パターンがシフトしつつある。

〔何樂晴(エスター・ホー)〕

(香港)

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