スナク英首相、7月4日の総選挙実施を発表、議会は5月30日に解散

(英国)

ロンドン発

2024年05月23日

英国のリシ・スナク首相は5月22日、首相官邸で記者会見を開き、総選挙を7月4日に実施することを発表した。首相は会見に先立ってチャールズ国王に下院議会の解散を要請し、許可を得たと述べた。下院議会は5月30日に解散される。

英国では2025年1月までに総選挙が行われることになっていたが、スナク首相は2024年1月に、同年下半期の実施を想定しているとコメントしていた(2024年1月5日記事参照)。今回、7月に実施することを決定した背景について、首相は自身のX(旧Twitter)に投稿。英国の経済がフランスやドイツ、米国を上回るペースで成長していること(2024年5月13日記事参照)や、22日朝に発表された4月のインフレ率が2.3%と、平常時の水準に戻ったことを紹介。与党・保守党の計画や優先事項(2023年1月6日記事参照)が機能している証拠だと続けた。その上で、この進歩を基にするか、計画もなく確実性もない状態で振り出しに戻るリスクをとるのかを人々が選択できるよう、選挙を実施すると述べた。

スナク氏はその後、保守党の選挙集会でも演説。ロシア・ウクライナ情勢や中東情勢、不法移民や中国の台頭など不確実性の多い現在では、明確な計画を持ち、安定した未来に向かって大胆に行動することが必要だと述べ、それが可能な唯一の政党が保守党だとした。一方で、野党・労働党のキア・スターマー党首に対しては、信念がなく、発言したことをやり通さず、計画もないと批判し、特に不確実性の高い時代に英国のリーダーとして信頼することはできないとした。

スターマー党首も演説を実施。選挙を変化の機会と位置付け、保守党政権による混沌(こんとん)を終わらせ、労働者に資するよう政治・経済をリセットするとした。さらに、労働党が英国の再建に向けた長期的な計画を有していると続け、政権獲得時に第一に取り組む6項目(2024年5月17日記事参照)をあらためて紹介した。

英BBCは、複数の機関による調査結果を基に各党の支持率をまとめており(注)、それによると、5月22日時点の支持率(各調査の平均)は、労働党が45%、保守党が23%となっている。

(注)「わからない」や「投票しない」などの回答は除く。

(山田恭之)

(英国)

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