スナク首相、新年のメッセージを公表、総選挙は2024年下半期を想定

(英国)

ロンドン発

2024年01月05日

英国のリシ・スナク首相は2023年12月30日、2024年に向けた国民へのメッセージを公表した。その中で、2023年初頭に発表した優先事項(2023年1月6日記事参照)の状況についても触れた。スナク首相は、まず、国営医療サービス(NHS)およびソーシャルケアに対して記録的な資金を投入したとした。英国の経済は成長しており、インフレ率も半減しているほか、企業向けの減税も実施していると続けた。これにとどまらず、債務削減、減税、家庭へのエネルギー供給の安定的な確保、企業支援や教育などを通じた経済成長に取り組むほか、不法移民に対しても断固とした対応をとるとした。

スナク首相が掲げた優先事項の達成状況について、英国シンクタンクのインスティチュートフォーガバメント(Institute for Government)は、インフレ率の半減を除き明確な期限が定められていないとしたうえで、政府債務の削減については達成に疑問が残る(in doubt)とし、NHSの待機リスト削減と小型船による不法入国については不調(off track)とした。

なお、スナク首相は2024年1月4日、メディアの取材に対して総選挙を2024年の下半期に実施することを想定(working assumption)しているとコメントしている。

労働党も年頭演説で総選挙に向けアピール

同日には、野党・労働党のキーア・スターマー党首が年頭演説を実施した。総選挙に向けて、保守党の政策を分断と低迷を生むものとして批判し、労働党として「プロジェクト・ホープ(Project Hope)」に取り組むとした。

スターマー氏は、労働党が、G7で最も高い成長率の達成、女性・女子に対する暴力の半減、2030年までのゼロカーボン電力システム実現(2023年6月29日記事参照)など、測定可能かつ野心的な目標を打ち出していると説明。その上で、新たな目標と、新たな優先事項に基づく新計画を約束し、経済、政府に関する取り組みについても刷新すると述べた。さらに、国内の分断を利用するのではなく、国を一つにするために取り組むとした。

演説後の質疑応答で税制変更について問われると、経済成長を最優先事項とした上で実施すると述べた。また、ゼロカーボン電力システムの実現を含むネットゼロ達成に向けた投資については、財政規律に基づき実施するとした。

(山田恭之)

(英国)

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