バイデン米政権、メキシコと半導体サプライチェーン強靭化で連携発表

(米国、メキシコ)

ニューヨーク発

2024年04月02日

米国国務省は3月28日、半導体サプライチェーンの強靭(きょうじん)化に向け、メキシコ政府と新たに連携すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

米国では2022年8月に安全保障上の観点から、半導体の国内生産・研究開発能力の増強を目的とするCHIPSおよび科学法(CHIPSプラス法)が成立した。米国政府は同法に基づき、米国で半導体製造施設や製造装置・素材関連施設への投資を行う企業・団体に対して、390億ドルの資金援助と25%の税額控除を行うほか、研究開発を行う企業・団体に対して、110億ドルの資金援助を行う。また、同盟国やパートナー国との連携を通じて、安全性・信頼性ある通信ネットワークの開発と採用を促進し、半導体サプライチェーンの安全性・多様性を確保するため、「国際技術安全保障・イノベーション(ITSI)基金外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」の創設に5億ドル(2023会計年度から向こう5年間で毎年1億ドル)の予算が割り当てられた。

今回の発表によると、国務省は今後ITSI基金の下で、メキシコの既存の半導体エコシステムと規制の枠組み、労働力とインフラのニーズを包括的に分析し評価する。この分析には、メキシコの経済省、州政府、教育機関、研究機関、企業など、メキシコの半導体エコシステムの主要な利害関係者が参加する。国務省は、この評価を通じて得られた結果を将来的な共同イニシアチブの基礎とするとしている。

米国は国内投資の奨励(注1)と並行して、半導体サプライチェーン強靭化の1つの手段として、ニアショアリング(注2)に向けた動きを見せている。米国通商代表部(USTR)のキャサリン・タイ代表は3月18日に開催した経済繁栄のための米州パートナーシップ(APEP)貿易担当相会合で、「われわれの仕事の多くは、サプライチェーンの強靭化に焦点を当てることになる」などと発言していた(2024年3月26日記事参照)。また直近では、商務省のジーナ・レモンド長官が3月22日にコスタリカのロドリゴ・チャベス大統領と会談し、西半球の半導体サプライチェーン強化に向けて議論を行っていた(2024年3月26日記事参照)。

(注1)先端半導体製造施設の新設や拡張などに対する資金援助(第1弾)では、これまでに4件の資金援助が発表されている(2024年3月22日記事参照)。このほか、半導体製造装置・素材関連施設に対する資金援助(第2弾)、研究開発に対する資金援助(第3弾)が発表されている(2024年3月1日記事参照)。

(注2)生産拠点を消費地の近隣国に移転すること。

(葛西泰介)

(米国、メキシコ)

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