トルコ、54品目の対イスラエル輸出規制を発表

トルコ貿易省は4月9日、鉄鋼やジェット燃料、建設機器、化学肥料など54の品目グループについて、イスラエルへの輸出制限措置を同日から適用すると発表した。同措置は「イスラエルが国際法の義務に従い、（パレスチナ自治区）ガザ地区での即時停戦を宣言し、人道的援助が適切かつ継続して行われるまで続く」としている。

同措置に対しては、トルコ経済界から「全世界、特にイスラム諸国へ模範となるべき措置」などと支持する声が上がっている（4月10日付「エコノミム」）ほか、最大野党の共和人民党（CHP）も賛同する意向を示している。

トルコ統計局（TUIK）によると、2023年のトルコの対イスラエル輸出額は54億2,500万ドルと、輸出相手国では13位、2.1％のシェアを占める。トルコ輸出業者協議会（TIM）の品目別輸出統計によると、イスラエル向け輸出シェアが大きい品目は、セメント・ガラス製品（8.5％）、鉄鋼（5.9％）、家具（4.6％）のほか、鉄・非鉄金属、電気・電子機器、貴金属、鉱物、化学品、既製服、自動車関連などとなっている。中でも鉄鋼関連は、2022年に17社のトルコ企業団がイスラエルを訪問するなど、トルコにとっては大きな市場だ。

トルコとイスラエルの間では、1997年に自由貿易協定（FTA）が発効しているほか、度重なる政治的緊張や対立の中でも、トルコからイスラエルへの輸出は順調に拡大していた（2023年11月10日付「ユーロニュース」）。また、2023年9月にはトルコのレジェップ・タイップ・エルドアン大統領が国連総会出席のため訪米した際にイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相と首脳会談を行い、エネルギー協力など経済関係強化で一致した（2023年9月22日記事参照）。

イスラエルとハマスの衝突の詳細についてはジェトロの特集を参照。

（佐野充明）