ポーランド統一地方選挙、野党PiSが首位獲得

(ポーランド)

ワルシャワ発

2024年04月17日

ポーランドで4月7日、県や郡、市町村議会の議員と、市町村長を同時に選出する統一地方選挙が実施された。国家選挙管理委員会(PKW)によると、投票率は51.9%と、上下院とも約74%だった2023年10月の総選挙(2023年10月23日記事参照)から大きく下がり、2018年の統一地方選挙の投票率54.9%も下回った。

県議会選挙を全国単位で見ると、ヤロスワフ・カチンスキ党首率いる保守野党「法と正義(PiS)」が34.3%を獲得し、首位に立った。ドナルド・トゥスク首相率いる親EUの国政連立与党「市民連立(KO)」(注1)は得票率30.6%と、PiSに後れを取るかたちとなったが、連立政権を組む3党は合計51.2%を得て、連立与党としては勝利を収めた。政権交代して4カ月が経過したが、PiSが依然として強い政治勢力であることを示す結果となった。各県の結果を見ると、16県のうち9県はKO、7県はPiSが第1党となった。

「ポリティカ・インサイト」誌(4月9日)によると、地方部や農民からはPiSの支持率が、都市部や高い教育を受けた有権者からはKOの支持率が高い傾向にある。年齢別にみると、49歳以下の有権者グループではKO、50歳以上のグループではPiSが最も支持を得ている。KOと連立政権を組む「第3の道」と「新左派」のほか、「同盟」(注2)、無党派は若年層からの支持率が高く、PiSとKOの2大勢力の対立に疲れ、政治に変化を望む若い有権者の声を示唆していると同誌はコメントしている。若者の投票率は低く、18~29歳は38.6%だった一方、50歳以上は62.4%だった。

大都市の市長選挙では、無所属または与党候補が選挙戦を有利に展開し、第1回投票で16の市のうち、8市で当選者が確定したが、この中にPiSの候補者はいなかった。3市ではPiSの候補者が再選挙に進んだが、いずれも第1回投票では対抗馬に劣勢の状況だった。

注目が集まったワルシャワ市長選では、「市民プラットフォーム(PO)」の現職のラファウ・トシャスコフスキ氏が57.4%の得票率で2期連続当選した。PO党首のトゥスク首相は今回の市長選の結果を歓迎し、トシャコフスキ氏は2020年の大統領選では僅差で敗北したものの(2020年7月21日記事参照)、2025年に予定されている大統領選への立候補を後押しする可能性があるとコメントした(「フィナンシャル・タイムズ」紙4月8日)。

過半数獲得者がいなかった市町村長の再選挙は4月21日に実施される。

(注1)市民プラットフォーム(PO)と少数政党による連合。

(注2)正式名称は「自由と独立同盟」。

(柴田紗英)

(ポーランド)

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