在中国のドイツ企業、65%が不公平な競争に直面、政府へのアクセスなどで劣位

(中国、ドイツ)

北京発

2024年04月17日

中国に進出したドイツ企業で構成する中国ドイツ商会は4月10日、在中国ドイツ企業の競争力調査報告を発表した(注1)。同調査は会員企業150社に対して、2月22日~3月6日に実施された。

報告では、中国で「不公平な競争に直面しているか」との質問に、65%の企業が「直面している」と回答した。また、自社にとって中国での主な競争相手について、「中国民間企業」との回答が52%で半数を超えた。「外資系企業」は37%、「中国国有企業」は11%だった。

中国での競争相手に対して自社が優位性を持つ能力について、「製品の質」が2.88ポイント(注2)で1位だった。2位は「技術的リーダーシップ」で2.69ポイント、3位は「イノベーションの優位性」で2.34ポイントだった。

最も劣位なのは「コスト効率」で1.32ポイント、2位は「製品の市場投入までの時間」で1.49ポイント、3位は「イノベーションのスピード」で1.57ポイントだった。イノベーションについて、ドイツ企業は能力では優位性があるものの、そのスピードは競争相手に劣位しているという結果になった。

競争環境に関連する項目では、「政府・地方主管部門へのアクセス」が1.49ポイント、「大学・シンクタンクなどへのアクセス」が1.55ポイント、「標準化・技術委員会へのアクセス」が1.58ポイント、「税制優遇・補助金の獲得」が1.59ポイント、「公開入札」が1.63ポイント、「許可証の取得」が1.78ポイントなど、報告書に記載されている11項目の全てで2ポイントを下回り、比較的劣位に置かれている。

中国政府への要望では、「真に公平な競争環境の構築」が51%、「新たな法律・法規に関するニュース(の提供)」が34%、「地方での不平等扱いの実態追跡」が31%、「主管部門の担当者の明確化」が31%だった。

中国ドイツ商会は1月24日に、毎年実施している景況感調査の結果を発表(2024年2月20日付地域・分析レポート参照)、今後1~2年の中国への投資の見通しについて、54%の企業が「拡大」と回答、そのうち79%が拡大理由として「中国市場での競争力の維持」を挙げている。

また、3月27日には在日ドイツ商工会議所が企業景況調査を発表しており(2024年4月9日記事参照)、回答企業の38%が生産拠点、23%が地域統括拠点の中国から日本への移転を経験している。

(注1)中国語版と英語版が公表されているが、質問項目など一部の内容が異なっている。本稿は中国語版に基づいている。

(注2)3を最大、1を最小として、最大に近づくほど優位性が高い。計算式は、回答のうち「強み」が3ポイント、「同等」が2ポイント、「弱み」が1ポイントで、回答数の割合に応じて加重平均されたもの。例えば「製品の質」は「強み」が88%、「同等」が11%、「弱み」が1%のため、3×88%、2×11%、1×1%の合計値となる。計算式で算出した数値と、報告書に記載されているポイントに、わずかなずれが生じている場合があるが、回答割合の合計が100%を超えている項目もあるため、回答割合の小数点以下の扱いによるものと考えられる。

(河野円洋)

(中国、ドイツ)

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