3月の米30年固定物住宅ローン金利わずかに低下、住宅需要は底堅さ示す

(米国)

ニューヨーク発

2024年04月02日

米国連邦住宅金融抵当公庫(フレディマック)は3月28日、3月第5週の住宅ローン金利を公表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。3月第5週の30年物固定住宅ローン金利は6.79%と、先月末(6.94%)から0.15ポイント低下した。フレディマックは今回の発表に際し、「住宅ローン金利が若干低下し、一部の住宅購入予定者の予算に若干余裕が生じた。また、公表された中古住宅販売に関するデータは、在庫の改善を反映しており、心強い。とはいえ、市場は金利がさらに下がることを期待してインフレ低下の兆候を注視しているため、依然として7%あたりで高止まりしている」とコメントしており、連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策スタンス(2024年3月22日記事参照)や、その判断材料となる物価動向を見極める展開が続いているもようだ。

なお、2月の住宅販売は金利の上昇にもかかわらず、新築住宅は66万2,000戸で、1月からほぼ横ばい、中古住宅は438万戸と、在庫増を反映して2023年2月以来の高い伸びを見せており(添付資料図参照)、全米不動産協会(NAR)のチーフエコノミストのローレンス・ユン氏も「住宅の購入時期は住宅ローン金利と在庫の選択肢によって決まるだろう。住宅価格を安定させ、より多くの米国人が次の住宅に移るには、より多くの供給が必要だ」と指摘するなど、住宅需要は高金利にもかかわらず底堅いようだ。こうした需要を背景に、米商務省が発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした2月の住宅建設許可申請や住宅着工の数値も、住宅部門が最悪期を脱しつつあることを示唆するものとなっている。

また、住宅の入手可能性に関しては、政治的な関心も高い。バイデン政権が2025年度予算教書の中で、住宅購入に当たって金利や頭金を支援することを打ち出すなど、住宅へのアクセス改善を取り上げているほか(2024年3月18日記事参照)、トランプ前大統領もバイデン政権の経済政策を批判する要素として取り上げており(2024年3月14日記事参照)、11月の大統領選の重要な争点であるインフレ対策の中でも特に注目されている。引き続き政治・経済両面で、住宅金利や供給の動向に注目だ。

(加藤翔一)

(米国)

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