習国家主席がバイデン大統領と電話会談、両国関係の安定を評価

(中国、米国)

北京発

2024年04月04日

中国政府は4月2日、習近平国家主席と米国のジョー・バイデン大統領が電話会談を実施したと発表した(米国側の反応は2024年4月3日記事参照)。中国時間の2日夜に、バイデン大統領の求めに応じて会談を行ったとしている(注1)。

習国家主席は、2023年11月の首脳会談(注2)以降、双方はコンセンサスを真摯(しんし)に実行に移し、両国関係は安定に向かっていると評価した。同時に、マイナス要因も増加しており、注意が必要だとした。

その上で、中国と米国のような「2つの大国」は、交流ややり取りを途絶えさせてはならず、ましてや衝突や対立をしてはならないとした。その上で、安定的で健全かつ持続可能な道を前進し続けるべきだと強調した。

また、両国関係において守るべき原則として、(1)衝突・対抗しないという最低ラインを堅持し、両国関係の前向きな期待を高める、(2)挑発したり一線を越えたりせず、両国関係の全体的な安定を維持する、(3)合意内容を行動で示し、「サンフランシスコ未来図」(注3)を「現実」にする、という3点を挙げた。台湾問題は「越えてはならない第1のレッドライン」とした上で、米国の「台湾独立」を支持しないという意思を実際の行動に移すよう求めた。

習国家主席は、米国の中国に対する制裁について「デリスキング」ではなく、リスクをつくり出していると指摘した。その上で、中国のハイテク技術を押さえつけ、中国の発展の権利を奪うのであれば、座して手をこまねくことはないとした。

その他、香港、人権、南シナ海に関する中国の立場を述べたほか、ウクライナ危機と朝鮮半島情勢などについても意見交換した。

両首脳は、今回の会談は率直かつ建設的なものだったとし、麻薬対策、人工知能(AI)、気候変動対策などの分野での対話・協力を進め、両国間の人的交流を拡大するとともに、国際問題や地域問題に関する意思疎通を強化するとした。

中国側によれば、バイデン大統領は、米国は「新冷戦」や中国の体制転換を求めず、同盟関係を強化して中国に対抗することはせず、「台湾独立」を支持せず中国と衝突を生じるつもりはない、と重ねて述べたとした。また、米国は中国の発展を押さえつけず、「デカップリング」も求めないとした。その上で、ジャネット・イエレン財務長官とアントニー・ブリンケン国務長官の訪中により、対話・意思疎通を強化し、共にグローバルな課題対応を推進することを求めた。

(注1)習国家主席は、3月29日には米国ビジネス関係者らと会談を行っている(2024年3月28日記事2024年3月29日記事参照)。

(注2)2023年11月17日記事参照

(注3)中国は2023年11月の首脳会談の成果をこのように表現している。

(河野円洋)

(中国、米国)

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