EUの人権・環境デューディリジェンス法の妥協案、産業界の不満根強く

(EU)

ブリュッセル発

2024年03月21日

ビジネスヨーロッパ(欧州産業連盟)は3月15日、EU理事会(閣僚理事会)が同日承認した企業持続可能性デューディリジェンス指令案の最終的な妥協案(2024年3月21日記事参照)について声明を発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。産業界の懸念(2023年6月1日記事参照)に対処することなく、ドイツ、スウェーデンを含む10加盟国がEU理事会での妥協案の採決を棄権したことからも、同指令案は依然として企業が実行不可能な法令と主張。EU理事会と欧州議会に対し、さらに調整するよう促した。

強制労働製品の流通・輸出禁止規則案にも「企業が実行可能な法整備」を望む

EUでは、企業活動における人権や環境への悪影響の予防・是正に向けた法整備が進んでいる。EU理事会と欧州議会が3月5日に政治合意した、強制労働により生産された製品の域内での流通や域外への輸出を禁止する規則案(2024年3月12日記事参照)もその1つだ。ビジネスヨーロッパは3月13日付声明で、強制労働の疑いがある製品の調査の実施枠組みなどについて、欧州委案を修正したことを評価した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。しかし、依然として執行手順が複雑であり、企業・管轄当局双方のコスト、行政手続きが増加することに懸念を示し、規則の施行前に、規則の効果的な運用に向けた枠組みの策定と完全実施が必要だとした。

(滝澤祥子)

(EU)

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