大統領選投票日は7月28日に、野党側の対応が困難に

(ベネズエラ)

ボゴタ発

2024年03月07日

ベネズエラの選挙管理委員会(CNE)は3月5日、次期大統領選挙を2024年7月28日に実施することを発表した。CNEのエルビス・アモロソ会長は同日、選挙までのプロセスを次のとおり公表した。

  • 候補者指名:3月21~25日
  • 選挙人登録更新:3月28日~4月16日
  • 選挙キャンペーン:7月4~25日
  • 投票:7月28日

同日中に、大統領府はX(旧ツイッター)で、ニコラス・マドゥロ大統領のコメントとして「国民が新たな勝利を得ることを確信している」と述べ、これらプロセスのスケジュールを歓迎している旨を発信した。

ベネズエラでは通常、12月に大統領選挙が実施されているが、2018年の選挙は政権が望んだタイミングとして5月に行われた経緯がある。今回も早期の選挙実施とされたことで、投票に至るまでの選挙プロセスの期間が非常に短く、非現実的だ、と野党側は反発している。

野党側は、2023年10月に行った予備選挙でマリア・コリーナ・マチャド氏(ベンテ・ベネズエラ党)を圧倒的多数で選出していた(2023年10月24日記事参照)が、同年6月に受けていた15年間の公職就任資格停止措置はそのままで、2024年1月には最高裁も同措置を支持する判決を下した(2024年2月8日記事参照)。このことから、野党内ではあくまでもマチャド氏の立候補の可能性を追求するか、同氏が指名する他の候補者を擁立するか、など意見が分かれている。候補者指名の期限は3月25日となっており、それまでに野党内で一本化した方針を打ち出せるかが注目される。

一方、マドゥロ大統領は、再選に向け正式な立候補表明はしていないが、既に国内各地を頻繁に訪問するなど、選挙を意識したような行動を開始している。

なお、米国は2023年10月、バルバドスで行われた与野党対話での合意を受け、ベネズエラに対する一部の制裁を6カ月間緩和する措置をとっており(2023年10月20日記事参照)、2024年4月18日に同措置は期限を迎える。米国は、公正な選挙が行われない場合は緩和措置を更新しないことを明らかにしており、マチャド氏の復権がないまま短期間で選挙プロセスが強行される大統領選を米国がどう評価するかが、今後のベネズエラ経済の回復を大きく左右することになる。

(豊田哲也、マガリ・ヨネクラ)

(ベネズエラ)

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