国連アフリカ経済委員会、グーグルとDXに関する覚書に署名

(アフリカ、米国)

調査部中東アフリカ課

2024年03月07日

2月19日に、第37回アフリカ連合(AU)総会に合わせ、「教育、科学、テクノロジー、イノベーションを通じたアフリカの変革の促進」をテーマとして開催された「アフリカビジネスフォーラム」において、国連アフリカ経済委員会(UNECA)と米国グーグルは、アフリカにおけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の促進と加速のための覚書に署名外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

このパートナーシップは、グーグル側は自社の「デジタル・スプリンター・フレームワーク」に沿った対応となり、アフリカ側はAUのDX戦略(2020年~2030年)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)においてUNECAが果たすべき役割の支援に向けて、デジタル分野発展のための協力と、デジタル経済発展のための情報通信技術の活用促進を目的として締結された。

覚書の枠組みとしては、アフリカで急増する若者を対象とするデジタルスキルの開発、金融包摂の強化、スタートアップの育成、サイバーセキュリティーとオンラインの安全対策、人工知能政策の推進を追求する。

覚書の一環として、UNECAとグーグルは次の3つの分野での協力を始める。

  1. スタートアップの育成:グーグルの従業員によるメンタリングやコーチングにより、アフリカにおける国連が定めた世界の持続可能な成長目標(SDGs)に取り組むスタートアップを育成する。2033年までに100万社のスタートアップが1,000億ドルの収益を生み出すことを目標にする。
  2. コンピュータサイエンス教育:世界オリンピアードロボットコンテストへの参加支援とアフリカからの参加を増やすために、コンピュータサイエンスとロボット工学分野の5,000人を超えるアフリカの若い学生と200人の教師のスキルアップに努め、10カ国以上(注)での活動を目指す。
  3. サイバーセキュリティー協力:政策当局との対話や研修ワークショップ、最善慣行の共有を通してアフリカのデジタルセキュリティーの向上を図る。さらに、SDGsとアフリカ連合が目標として掲げる「アジェンダ2063」の達成のための共同研究の実施を目指す。

グーグルは、2020年にアフリカ向けのファンドを立ち上げ、スタートアップ支援を発表している(2023年6月29日記事参照)。また、アフリカでは昨今DXが進んでおり、地域によっては、決済アプリや配車サービスや家賃支払いにモバイルマネーが利用可能にもなっている(2023年7月3日記事参照)。

UNECAのクラベール・ガテテ事務局長は「アフリカのDXや関連する産業育成、教育においてグーグルの役割は重要であり、このパートナーシップがアフリカ大陸のデジタル課題への取り組みとデジタル格差の解消に重要な成果を生み出す可能性を秘めている」と述べた。

(注)エチオピア、赤道ギニア、ガーナ、ケニア、モザンビーク、ナイジェリア、ルワンダ、セネガル、タンザニア、南アフリカ共和国、南スーダン、ウガンダ、ジンバブエ。

(加藤皓人)

(アフリカ、米国)

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