主要農産物輸出が低迷、業界側は国際価格下落や国内インフレ加速を指摘

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2024年03月15日

アルゼンチンのロサリオ穀物取引所(BCR)は3月1日、大豆やトウモロコシ、ヒマワリ、小麦、大麦など主要農産物の1~2月の輸出額が予想を45億ドル下回る104億5,300万ドルにとどまったと発表した。同時に、主要農産物の2024年全体の輸出額の見通しについて、2023年12月の予測額358億ドルから313億ドルに下方修正した。BCRは、今回の輸出額減少の主な原因は主要農産物の国際価格下落としている。

他方、アルゼンチン植物油産業会議所・穀物輸出センター(CIARA-CEC)によると、主要農産物の輸出による外貨流入額は、1月は15億2,240万ドル、2月は14億9,900万ドルと、2カ月の合計で30億2,140万ドルとなり、記録的な干ばつに見舞われた前年同期比で92%増加した。CIARA-CECによると、外貨流入額の改善は新政権の経済政策によるもの。政府が2023年12月13日に実施した50%超の通貨切り下げや、トウモロコシと小麦の輸出数量を制限していた制度などを撤廃したこと(必要緊急大統領令DNU70/2023号、2023年12月22日記事参照)が効果を発揮しているという。

しかし、CIARA-CECのグスタボ・イディゴラス会長は「(生産者による農産物の)輸出向けの販売ペースはこの時期にしては予想を下回っている」と懸念を示している。また、農業セクターの専門家らも、国際価格の下落や国内のインフレ加速に対して公定為替レートの低下速度が追い付いていないことなど、生産者側の輸出向け販売意欲を損なう要素が多いとの見方を示している〔3月1日付現地紙「ラ・ナシオン」(電子版)〕。

(山木シルビア)

(アルゼンチン)

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