米アラバマ州で体外受精に関与する医療関係者保護法案が成立、バイデン政権も支持

(米国)

ニューヨーク発

2024年03月12日

米国アラバマ州のケイ・アイビー知事(共和党)は3月6日、体外受精(IVF)を行う医療関係者を保護する法案に署名した。これにより、医療関係者は同州でIVFに関する刑事・民事訴訟から保護される。同州の最高裁判所は2月16日、IVFで作られて冷凍保存された胚を子供と見なし、破棄したものは過失致死の責任を負うと判断していた(2024年2月27日記事参照)。

連邦レベルでも、生殖の自由を求める行動が出ている。タミー・ダックワース連邦上院議員(イリノイ州)率いる民主党上院議員らが2月28日に、IVFやその他の不妊治療(ART)を連邦法で保護するための法案を提出したが、共和党上院議員が同法案に反対したため否決された。これに対し、ダックワース上院議員はウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますにおいて、「アラバマ州最高裁が同州におけるIVFへのアクセスを厳しく制限する判決を下して以降、共和党上院議員の多くがIVF保護を支持する主張をしているにもかかわらず、彼らは本日、IVFやARTへのアクセスを全米で保護する法案を阻止した」と批判する声明を発表した。同議員は続けて、「ドナルド・トランプ前大統領と共和党にとって、この問題は常に保守的な政治家が女性の身体をコントロールすることだった。私はジョー・バイデン大統領や民主党議員と共に、全米で生殖の自由が守られるまで戦い続ける」と述べた。

バイデン政権は3月7日、生殖の自由に関するファクトシート外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表し、「ロー対ウェイド判決」に基づき女性による人工妊娠中絶の判断の自由の保護を復活させ、全ての州の女性が自身のヘルスケアの判断を下す自由を持てるよう、再度議会に要請するとした。また、米国連邦最高裁判所が「ロー対ウェイド判決」を2022年に破棄した後にバイデン大統領が出した3つの大統領令と大統領覚書(2024年1月25日記事参照)の継続的な実施を含め、生殖ヘルスケアへのアクセスを保護するための行政措置を取り続けると述べた。バイデン政権は同日の一般教書演説でも、IVFによる治療を制限する判決を出したアラバマ州最高裁の判断を批判し、生殖の自由を訴えた(2024年3月8日記事参照)。

フランスでは3月4日、世界で初めて中絶の権利を憲法に明記する国となった。エマニュエル・マクロン大統領は、米国で2022年に「ロー対ウェイド判決」が破棄されたことを受け、フランスにおける中絶の権利を保護することを約束していた(「ボイス・オブ・アメリカ」3月8日)。

(吉田奈津絵)

(米国)

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