バイデン米政権、人工妊娠中絶への継続的な支持あらためて表明

(米国)

ニューヨーク発

2024年01月25日

米国のジョー・バイデン大統領は1月22日、全米での人工妊娠中絶を認めた「ロー対ウェイド」判決から51年を迎えたとして声明を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。声明では、米国連邦最高裁判所が同判決を2022年6月24日に破棄(2022年6月27日記事参照)したことを非難するとともに、今後も女性の人工妊娠中絶へのアクセスを支持していくとした。

声明文でバイデン大統領は、「共和党議員により、女性の健康と命が危険にさらされている」「オハイオ州、ケンタッキー州、ミシガン州、カンザス州、カリフォルニア州に至る米国民が、生殖の自由が制限されるのを断固として拒否しているにもかかわらず、共和党議員らは全米における中絶禁止と、各地における破壊的な新しい制限を推し進め続けている」と述べた。また、「本日、そして日々、カマラ・ハリス副大統領と共に、共和党議員による危険で極端で的外れなアジェンダから女性の生殖の自由を守るために闘い続ける」とした。

また、ハリス副大統領は22日、中絶反対派に立ち向かう「生殖の自由のための闘い」の全米ツアーを開始した。人工妊娠中絶を巡る是非については、国民の関心が高く、大統領選における大きな争点の1つになっている。NBCニュースによる2023年11月の世論調査では、「候補者への支持を左右する課題を1つだけ選ぶとしたら何か」との質問に対し、「民主主義または憲法上の権利を守る」(19%)の次に「人工妊娠中絶」(18%)が続いた(注)。実際に、2023年のケンタッキー州の知事選挙やジョージア州の議会選挙では、人工妊娠中絶が主要な争点となった(2023年11月9日記事参照)。

また、声明と同日に米ホワイトハウスから発表されたファクトシート外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、ロー対ウェイド判決が破棄されてから出された、生殖医療サービスや中絶薬への安全なアクセスの保護などを規定している3つの大統領令と1つの大統領覚書の進捗状況を、生殖医療アクセス・タスクフォースで報告するとし、併せて、民間の医療保険に加入している女性のための避妊へのアクセスと経済的負担の軽減を強化するなど、新たな措置も発表した。

(注)実施時期は2023年11月10~14日。全米の登録有権者1,000人を対象とした。そのほかの選択肢は「移民・国境警備」(14%)、銃(9%)、イスラエル・ハマス紛争(5%)、LGBTQ問題(4%)、その他(21%)。

(吉田奈津絵)

(米国)

ビジネス短信 de542bcc25a6fbfe