兵庫、岐阜、大分、熊本の4施設がメキシコ向け牛肉輸出認定施設に追加

(メキシコ、兵庫、岐阜、大分、熊本)

メキシコ発

2024年03月21日

日本の農林水産省は3月6日、メキシコ向けに輸出が可能な牛肉の認定施設リストPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を更新し、兵庫県、岐阜県、大分県、熊本県に所在する計4施設を追加した。現在、メキシコ向けに骨付きでは輸出ができないため、どの施設も、食肉処理、カット、脱骨の3工程が認可されている。牛タンやハラミは内臓に分類されるため輸出できない。新規の追加施設は次のとおり。

  • 和牛マスター食肉センター(兵庫県姫路市、施設番号HMJ-1)
  • 熊本畜産流通センター(熊本県菊池市、同KU-2)
  • 大分県畜産公社(大分県豊後大野市、同OI-1)
  • 飛騨食肉センター、飛騨ミート農業協同組合連合会(岐阜県高山市、同GI-1)

メキシコは2014年2月に日本産牛肉の輸入を解禁し、解禁時から岩手県、群馬県、宮崎県、鹿児島県の計7施設のみを認定していた。輸入解禁からちょうど10年で4施設を追加したことになる。これまで、メキシコ向けに直接輸出をする認定施設の増加によって、和牛の輸出増が望まれてきた。2023年2月にメキシコ農業・地方開発省の検査団が訪日し、今回追加となった認定施設の実地検査を実施した後、1年の調整期間を経て正式公開となった。

2024年末まで牛肉の関税率が0%に

冷蔵肉(HS0201.30)と冷凍肉(HS0202.30)は輸入関税率が異なる。貿易協定を利用しない場合、前者は25%、後者は20%が課される。日本とメキシコ間には、日本メキシコ経済連携協定(日墨EPA)と、環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP)が存在する。

日墨EPAではMFN税率の8割となるため、冷蔵肉が16%、冷凍肉が20%。CPTPPでは、発効年の2018年から10年かけて段階的に削減される。冷蔵肉の場合は、2024年6%、2025年4%、2026年2%、2027年に0%となる。冷凍肉の場合は、2024年7.5%、2025年5%、2026年2.5%、2027年に0%となる。

こうしたことから、一般的にはCPTPP利用が推奨されるが、メキシコ政府は2022年5月から国内のインフレ抑制のため、一部の輸入食料品の関税率を時限的に0%に引き下げており、牛肉も含まれている(2023年12月28日記事参照)。2024年12月31日までは同措置が継続することから、2024年中は貿易協定をあえて利用せずに通関することで、0%が適用されることになる。

(志賀大祐)

(メキシコ、兵庫、岐阜、大分、熊本)

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