インフレ抑制のため、基礎物資の一般関税の一時的免除措置を2024年末まで延長
(メキシコ、日本)
メキシコ発
2023年12月28日
メキシコ政府は12月27日、連邦官報で「輸入関税の撤廃および基礎物資および家庭の基礎消費品目への行政上の便宜を付与する政令」の改正を公布した。2023年1月6日付官報で公布された改正前の政令は、食料品などの価格上昇抑制を目的としたインフレ率上昇抑制策の一環として、2022年5月16日付官報公布政令に基づく一般(MFN)関税の一時的免除措置(2022年5月19日記事参照)、2022年10月19日付官報公布政令に基づく「基礎物資の輸入業者登録」に登録された輸入業者に対する非関税規制対象品目の輸入手続きの一時的簡素化措置(2022年10月24日記事参照)の双方について、2023年末まで適用を延長する内容だった。今回の改正で、適用期限が2024年末までさらに1年延長される。
今回の改正による関税免除対象品目についての変更はない。ただし、2023年5月18日付官報公布政令に基づき、ティラピアの切り身が対象に追加、小麦および小麦粉が対象から削除となり、同年6月23日付官報公布政令に基づき、主食のトルティージャ用白色トウモロコシが対象から削除されていた。なお、基礎物資の輸入業者登録を行った業者が、2023年1月6日付官報公布政令の第1条および第2条に記載された品目について、外国のサプライヤーと2024年12月31日を超える期間に及ぶ長期購入契約を締結した場合、国税庁(SAT)に2025年1月10日までに当該契約書を提出した場合に限り、恩典の適用期限が2025年3月31日まで延長される可能性がある(改正後の政令付則第4条)。
日本からの牛肉輸入に追い風
今回の政令延長で最も大きな恩恵を享受できる分野は、和牛(牛肉)の日本からの輸入だ。輸出入関税法(LIGIE)に基づく牛肉の本来の一般関税率は、生鮮・チルド(HS02.01項)が20%、冷凍(HS02.02項)が25%。2005年4月に発効した日本メキシコ経済連携協定(日墨EPA)は牛肉を関税削減の例外品目としているが、2018年12月30日に発効した環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP)は牛肉も関税削減の対象としている。しかし、CPTPPでは10回に分けて段階的に関税が撤廃されるスケジュールとなっており、2024年時点でも関税が残っている(生鮮・チルドが6.0%、冷凍が7.5%)。今回の政令改正により、2024年末まではCPTPPよりも有利な0%の関税率を享受できる。
(中畑貴雄)
(メキシコ、日本)
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