EU、第13回WTO閣僚会議について一部成果は評価
(EU、世界)
ブリュッセル発
2024年03月08日
欧州委員会は3月1日、第13回WTO閣僚会議(MC13)での成果(2024年3月5日記事参照)に関する声明を発表した(プレスリリース)。EUとしては、サービス貿易改善に資する新たなルールへの合意、電子的送信に対する関税不賦課の延長、環境分野での協力、世界貿易の中での開発途上国の地位強化に貢献したと強調。一方、地政学的リスクが高まる中、漁業補助金や農業ルールの改革、紛争解決制度改革に関しては、「多くの加盟国の同意はあったもの、一部の加盟国、時に一カ国の反対によりまとまらなかったことは残念」と、会議に出席した欧州委のバルディス・ドムブロフスキス執行副委員長(経済総括、通商担当)は述べた。
サービス貿易の改善に関する新たなルールは、EUとその27加盟国を含む71のWTO加盟国が合意。欧州委は、特に零細、中小企業にとり、許認可申請に係る負担が軽減され、全世界で毎年1,100億ユーロ相当のコスト削減につながると指摘。また、電気通信や決済業務も関わるため、デジタル分野の促進にもつながるとした。
世界貿易における開発途上国の地位向上に関しては、海外直接投資を呼び込むための開発のための投資円滑化協定に123の加盟国が合意した。欧州委は、東ティモールとコモロのWTO加盟(2024年2月29日記事参照)も、WTOが開発途上国にとって意義のある組織であることの証左とした。
合意に至らなかった農業ルールの改革に関しては、各国の農業分野の補助金制度が貿易に影響を与えないかたちでの見直しが必要とした。EUの共通農業政策(CAP)の見直し(2024年3月4日記事参照)は、貿易への負の影響を与えない政策事例だとした。
2024年末までに持ち越された紛争解決制度の改革に関しては、WTOの存続意義、企業の安定した投資、輸出活動にとっても重要とし、EUは今後も、WTO改革を主導していくとした。
(薮中愛子)
(EU、世界)
ビジネス短信 6cced224aa59e884