米NY州で、2024年選挙に向け連邦下院議会選挙の区割りを再編

(米国)

ニューヨーク発

2024年03月08日

米国ニューヨーク(NY)州の州議会は2月28日、新しい連邦議会の選挙区を定める法案を可決した。同州のキャシー・ホークル知事(民主党)が同日、これに署名外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしたことから、新しい選挙区割りが成立した。同州の最高裁判所に相当する控訴裁判所は2023年12月12日、独立選挙委員会(IRC)に対し、当時の区割りは、法令違反是正のために2022年の選挙の際に使われた目的に限定されるとし、遅くとも2024年2月28日までに新たな区割り案と実施案を提出すべきと発表していた(2023年12月19日記事参照)。

2022年11月に実施された連邦下院選挙では、共和党が民主党から4議席奪取し、議席を積み増していた(2023年2月10日付地域・分析レポート参照)。米政治専門紙「ポリティコ」(2024年2月28日)によると、今回可決された新しい区割りになることで、州北部に位置するシラキュース周辺の選挙区から選出された共和党のブランドン・ウィリアムス連邦下院議員にとっては、11月の連邦下院選挙の議席確保が厳しくなったとみられている。ただし、今回の変更によって、選挙の結果予想が1ポイントを超えて変更されるのは当該区のみと分析されており、前回、共和党が民主党から4議席を奪取した激戦区(第3、4、17、19区)の区割りは微調整にとどまる。

民主党が多数派を占めるNY州議会で可決された今回の法案に対し、ハキーム・ジェフリーズ下院院内総務(民主党)は同日、自身のウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、州議会が新しい選挙区割りを承認した後、「極端な党派活動家たちによって指名された経験不足の共和党のスチューベン郡判事が任命した、選挙で選ばれたわけでもない州外からの専門家が作成した区割り地図によって、NY州民の意向は2022年に損なわれた」とし、「州議会は今日、NY州民にふさわしい公正な議員を提供することができる、超党派の区割り地図を採用した」と、今回の区割り変更を評価する声明を発表した。

一方で、共和党NY州委員会のエド・コックス委員長は同日、「下院議長の座を狙うハキーム・ジェフリーズ氏は、あらゆる段階で区割り変更プロセスを弱体化させ、腐敗させようとしてきた。(2022年の区割りに関する)裁判でのわれわれの勝利は、公平な選挙区をもたらした。この区割りは、(今回)民主党が提出した区割りと実質的な違いはない。そのため、この区割りについて、法廷で争うつもりはない」と批判した。

(吉田奈津絵)

(米国)

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