EUの包装・包装廃棄物規則案、日本酒などの容器は再利用目標の適用除外

(EU)

ブリュッセル発

2024年03月26日

EU理事会(閣僚理事会)と欧州議会が暫定的な政治合意(2024年3月8日記事参照)に達した包装・包装廃棄物規則案の法文案外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが3月15日付で公開された。同規則案は包装廃棄物の削減、包装材のリサイクル、再利用(リユース)の促進を義務付けるもの。適用対象は、産業、小売り、流通、オフィス、サービス業、家庭を問わず排出された包装廃棄物で、これらを扱う事業者それぞれが規制の対象となる。他方、政治合意では、製紙や食品関係を中心に欧州委員会案から要件の一部が緩和されたことが分かっており、その詳細に注目が集まっていた。

政治合意された法文案では包装材の再利用について、輸送用、保管用、飲料用など用途別の目標値を定めていた。飲料用包装材に関しては、公開された法文案によると、2030年1月以降、EU域内で飲料を扱う最終販売業者は、製品の少なくとも10%を再利用可能な包装で提供することが求められる。また、2040年1月以降は最低40%が再利用可能な包装で提供されるよう努めなければならない。他方、除外対象としてはワインや蒸留酒などがあり、日本酒も含まれていることが明らかになった(注)。このため、欧州経済領域(EEA)内で製造・販売される日本酒の容器は再利用目標の除外対象となる。

法文案は、EU理事会の常駐代表委員会(COREPER)で3月15日に採択され、欧州議会環境委員会で3月19日に採択された。今後、両機関による正式な採択を経て、EU官報に掲載後、施行される。

なお、2023年の日本のEU向け農林水産物・食品の輸出額は前年比6.4%増の724億円だった。2022年時点の最大輸出品目はアルコール飲料(132億円)で、ホタテ貝(73億円)、牛肉(41億円)が続いた。

(注)再利用目標は、公開された法文案の第26条に定められている。除外対象は第26条9項にあり、ワインに類似する製品として日本酒を含むCNコード(EUの域外共通関税を設定する合同関税品目分類)2206 00が明記された(同項d)。梅酒、ゆず酒、焼酎が含まれる蒸留酒のCNコード2208も明記された(同項e)。

(薮中愛子)

(EU)

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