EU、包装材のリサイクルや再利用、過剰包装禁止を義務付ける規則案で政治合意

(EU)

ブリュッセル発

2024年03月08日

EU理事会(閣僚理事会)と欧州議会は3月4日、包装・包装廃棄物規則案に関して暫定的な政治合意に達したと発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。法案は、包装廃棄物のさらなる削減に向け、現行指令を改正し、EU域内全域に直接適用される規則として欧州委員会が提案したもの(2022年12月2日記事参照、注)。現行指令にかかわらず、包装材の再利用やリサイクルは十分に進んでおらず(2023年6月14日記事参照)、包装廃棄物の排出量はむしろ増加傾向にある(2023年10月26日記事参照)。

そこで法案は、レストランやカフェなどで消費する飲料・食品やホテルの小分けシャンプーなどに使用される使い捨てプラスチック包装材の禁止、輸送用包装材の最小限化要件、再利用可能な包装材の利用率に関する飲料用や輸送用など包装用途別の目標値、すべての包装材に基準値以上のリサイクル可能性を課す要件、プラチック包装材におけるリサイクル済みプラスチックの最低使用要件など多岐にわたる規制を新たに導入する。

今回の政治合意では、欧州委案の大部分を維持する一方で、製紙や食品関係を中心に要件を一部緩和した。まず、再利用可能な包装材の利用率に関して、ワインや包装用段ボールなどを、法的拘束力を持った目標値の対象から除外した。また、テイクアウト用の飲料および食品を提供する事業者に対しては、消費者が持参する容器に無償で対応することは義務付けられるものの、テイクアウト用容器に関する目標値は努力規定となった。現地報道によると、背景にはこれらの業界団体による重点的なロビー活動や関連産業を有する一部の加盟国からの反発があったとされる。

法案は今後、両機関による正式な採択を経る必要がある。採択された場合、施行18カ月後に適用を開始するが、実際の適用開始時期は規制によって異なる。各要件の詳細は、規則案に基づき今後策定される委任法令を確認する必要がある。なお、今回合意された法文案は公開されていない。

(注)ジェトロの調査レポート「EUの循環型経済政策(第2回)包装・包装廃棄物規則案を中心とする2022年政策パッケージ第2弾」(2023年3月)を参照。

(吉沼啓介)

(EU)

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