スリランカ大統領、経済改革促す法制度化を推進
(スリランカ)
コロンボ発
2024年03月14日
スリランカのラニル・ウィクラマシンハ大統領は3月3日、コロンボ市内のイベントで演説し、同国の経済改革に向けた新たな法的枠組みが必要だと強調した。
具体的には、次の内容を含む62件の関連法の制定を促した。
- 財政管理法
- 公的債務管理法
- 農業近代化法
- 経済改革法
- 現在のスリランカ投資委員会(BOI)に代わり、貿易や投資インフラを含む経済活動を統合的に監督する経済委員会の設立
- 商務局(Department of Commerce)の解体、外務省と連携した国際貿易センターの設立
- 国際競争力確保に向けた国内製品の製造強化を目的とする国家生産性委員会の設立
- 経済成長を支援するための経済・国際貿易研究所の設立
- 観光事業を管理する新たな法の制定
- 気候変動や環境保護への対応
- 重要な自然保護区の保護
- 職業教育機関の統合と新たな技術系大学の設立
ウィクラマシンハ大統領は関連法制定の狙いについて「国内経済の変革は必須だ。内需型の経済から輸出中心の経済へと移行しなければならない。現状では輸入に必要な外貨が不足しており、競争力のある輸出主導型経済への移行が不可欠だ。同時に、デジタルで持続可能なグリーン経済も取り込まなければならない」と語った。
6日の国会演説では、同大統領は2022年春以降の経済危機からの回復戦略が成果を上げていると強調した。その上で、経済改革法案を間もなく国会に提出する予定と明らかにし、堅調な経済成長を実現するべく、迅速な法案の成立を国会に求めた。
さらに、2023年第3四半期(7~9月)にGDPがプラス成長に転じたことや、インフレ率の低下、外貨準備高の回復、1977年以来の経常黒字の達成、為替レートの回復を挙げた上で、財政面では2023年には国の歳入が前年比50%以上増加したことに伴い、基礎的財政収支が黒字に転じたと強調した(2024年2月14日記事参照)。加えて、国内外の債権者との債務再編交渉について、2023年から2027年までの支払い猶予を求めるとともに、2027年から2042年までの返済という条件で進めていると明らかにした。
(大井裕貴)
(スリランカ)
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