中銀が2023年の国際経済実績発表、2年8カ月ぶりに輸入3カ月分の外貨を確保

(スリランカ)

コロンボ発

2024年02月14日

スリランカ中央銀行(CBSL)は1月31日、2023年の国際経済実績PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表した(注1)。2023年12月末時点の外貨準備高は、2022年末の18億9,800万ドルの2.3倍の43億9,200万ドルに達した(注2)。2023年11月の輸入額(13億8,870万ドル)を基準とすると、輸入の3.2カ月分相当になり、2021年4月以来2年8カ月ぶりに輸入3カ月分の外貨を確保したことになる。中銀は外貨準備高が伸びた主な要因として、中銀による国内為替市場での外貨購入額の増加、IMF、世界銀行、アジア開発銀行からの援助などを挙げている。

2022年春に大きく下落した通貨スリランカ・ルピーは回復傾向にあり、2023年の為替レートは、ドルに対して12.1%、日本円に対して19.5%上昇した。ただし、2023年12月の実質実効為替レート指数(2017年=100)は69.83にとどまり、低水準が続いている。

2023年の輸出額は、前年比9.1%減の119億1,100万ドル、輸入額は8.1%減の168億1,100万ドルとなり、貿易赤字は5.5%減の49億ドルだった(添付資料表参照)。CBSLは、輸出が減少した主な要因を衣料品に代表される工業製品輸出の落ち込み、また、輸入が減少した主な要因を非必需品への輸入制限、経済活動や消費能力の低下による、と分析している。

2023年の郷里送金額においては、前年比57.6%増の59億7,000万ドルと大幅に増加し、繊維製品・衣料品の輸出額48億7,890万ドルを上回る最大の外貨獲得源となった。2023年の海外への出稼ぎ労働者の出国者数は29万7,656人となり、1986年の統計開始以降の最多を記録した2022年の31万1,056人からは減少したものの、依然として高水準だった。

さらに、2023年の外国人観光客数は前年比2.1倍の148万7,303人に倍増したが、観光収入は82%増の20億6,800万ドルにとどまった。

2023年の国債市場への外国投資については、2億1,000万ドルの買い越し、コロンボ証券取引所への外国投資も1,800万ドルの買い越しとなった(添付資料表参照)。

(注1)暫定値を含む。

(注2)外貨準備高の43億9,200万ドルには、用途が制限される中国人民銀行からのスワップ枠14億ドルが含まれる。

(大井裕貴)

(スリランカ)

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