ダノン子会社の株式国有化が解除

(ロシア、フランス)

調査部欧州課

2024年03月26日

フランス食品大手ダノンがロシアで保有する資産(同社が子会社を通じ保有するロシア法人の株式)の国有化が、3月13日に解除された。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が大統領令第186号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます「いくつかの大統領令の規定の失効について」(2024年3月13日付)に署名したことによるもの。ダノンがロシアに保有する資産は2023年7月、デンマークのカールスバークのロシア子会社とともに一時的に国有化されていた(2023年7月25日記事参照)。

国有化解除の背景についてはさまざまな見方がある。ロシアの法律事務所エンタープライズ・リーガル・ソリューションズのユーリ・フェドキン・マネージング・パートナーは、ダノン本社とロシア政府の間で今後の同社のロシアビジネスの継続について何らかの合意があったのではないか、との見方を示す(ベドモスチ3月13日)。2024年2月には、国有化されたダノンのロシア法人(注)の取締役の1人が社長であるロシア企業への売却交渉も報じられていた(フィナンシャル・タイムズ2024年2月21日)。

また、NSP弁護士事務所のイリヤ・ラチコフ・パートナーは、ダノンがロシア政府を相手取り「実質的な私有財産の接収」を理由にISDS条項(投資家対国家の紛争解決手続き)に基づく投資仲裁を起こす可能性を、ロシア政府が嫌ったとみている(コメルサント2024年3月13日)。

ダノンと同様に一時的に資産が国有化された企業は、2024年3月13日現在、13社に上る(添付資料参照)。

(注)ダノン・ロシアは2023年9月に社名をヘルス・アンド・ニュートリションズ(H&N)に社名を変更した。

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