UNDPとジェトロ、ウクライナ復興で民間企業の役割議論する公開イベント開催
(日本、ウクライナ)
調査部欧州課
2024年03月11日
国連開発計画(UNDP)駐日代表事務所とジェトロは2月20日、「ウクライナの包括的な経済成長と復興に向けた民間セクターの役割」と題したイベントを東京都渋谷区の国連大学本部ビルで共催した。日本とウクライナ両国の政府や関係機関、研究者らが民間部門を交えたウクライナ経済復興のあり方について議論した。
開会のあいさつでジェトロの片岡進副理事長は、各国政府の支援だけでは復興の莫大(ばくだい)な費用を補いきれないため、民間セクターの力が必要だと説明した上で、ジェトロの日系企業ネットワークとUNDPの知見を生かして、民間セクターを支援すると述べた。ジェトロとUNDPは2月19日、ウクライナ復興支援の協力にかかる趣意表明書を交わしている(2024年3月1日記事参照)。
イバーナ・ジィブコビッチ国連事務次長補兼UNDP欧州・独立国家共同体(CIS)地域局長と、UNDPウクライナ事務所の横井水穂プログラムマネージャーは戦争によるウクライナ中小企業への影響に関する調査結果を発表した。横井氏は現地の中小零細企業の活動状況などを紹介し、戦争で事業を停止していたウクライナ企業の84%がビジネスを再開していると報告した。
パネルディスカッションでは、経済復興の課題などを議論した。キーウ国立大学のアンドリー・ドリガチ教授はUNDPの調査結果を引用し、経済復興にはウクライナ企業が資金を調達しやすい環境の整備や、従業員のスキル向上など人的資本の育成、企業の競争力を促進する取り組みが必要だと説明した。ボロディミル・クジヨ経済省次官は、ウクライナの経済は戦時下でも成長を続けており、2024年も成長する見込みと述べた。多数国間投資保証機関(MIGA)などの組織と戦争関連のリスクを軽減する保証制度を設け、各国が投資しやすい環境の整備に取り組んでいると強調した。
ジェトロ・ワルシャワ事務所の柴田哲男次長はパネルディスカッションに登壇し、今後の取り組みについて発表した。日系企業のビジネスパートナー候補となり得るウクライナの地場有力企業を調査し、優れた100社を紹介する「ウクライナ100」のプロジェクトを計画していると説明した。
(小野塚信)
(日本、ウクライナ)
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