バクー・トビリシ・カルス鉄道再開に向けて改修工事

(トルコ、アゼルバイジャン、ジョージア、イラン、ロシア、カザフスタン)

イスタンブール発

2024年03月29日

アゼルバイジャンのイルハム・アリエフ大統領は3月16日、同国の首都バクーを訪問したジョージアのイラクリ・コバヒゼ首相との共同記者会見で、「バクー-トビリシ-カルス(BTK)鉄道が今後1、2カ月以内に拡張されて運行することは、大きな成果の1つになる」と述べ、4月に予定されている近代化に向けた改修工事が終われば、その貨物輸送能力は年間100万トンから500万トンに増大するとした(3月16日付MENAFN)。

トルコ、ジョージア、アゼルバイジャン、カザフスタンを経由して欧州と中国とつなぐカスピ海横断国際輸送ルート(TITR外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)、いわゆる「中央回廊」は、欧州と中国を最短で11日、平均で20~25日間のリードタイムでつなぐため、ロシアのウクライナ侵攻によって注目され、さらに紅海の海運混乱(2024年3月4日記事参照)を受けて、関心が高まっている。しかし、現在、BTK鉄道のジョージア側の国境地域の鉄道ラインが改修中のため実質的に運行されておらず、トルコ~ジョージア間はトラック輸送や黒海を経由した海路が利用されているのが現状のようだ。

総延長826キロのBTK鉄道は2017年に開通したが、2018~2023年に輸送された貨物は約140万トンにとどまる。そのうち、年間の輸送量が最大だったのは、ロシアのルートが閉ざされた2022年の47万6,900トンで、輸送能力の48%だった。2023年に始まったジョージア区間183キロ(海抜2,400メートル以上)の近代化改修はすでに95%が完了しており、アゼルバイジャン、ジョージア、トルコの期待は高まっているという。

現在、コーカサスを横断する中央回廊のルートは、トルコとアゼルバイジャンをアルメニア国境経由で結ぶ鉄道「ザンゲズル回廊」と、アルメニアを迂回するイラン経由の「アラス回廊」からなる南ルートの可能性が注目されているが、現在、いずれも実現時期の見通しは立っていない。このため、ジョージアの政府関係者は、現状ではジョージア経由の北ルートが現実的だとしている。

(中島敏博)

(トルコ、アゼルバイジャン、ジョージア、イラン、ロシア、カザフスタン)

ビジネス短信 0c01c2e088629418