フーシ派が攻撃した貨物船沈没、紅海航路回避の動き拡大

(イエメン、ベリーズ、米国、イスラエル、パレスチナ、英国、エジプト、南アフリカ共和国)

テルアビブ発

2024年03月04日

イエメン外務移民省は32日、武装組織フーシ派がイエメン沖で攻撃した貨物船が沈没したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。貨物船はベリーズ船籍のルビーマー号で、218日にイエメン沖でフーシ派の2発のミサイル攻撃を受けていた。同省危機管理室は、イエメン領海と紅海に環境汚染を引き起こすとして、貨物船の沈没に遺憾の意を表明した。

33日付AP通信によると、イスラエルによるハマスとの武力衝突を受けて、フーシ派が紅海で船舶攻撃を始めてから、船舶が完全に破壊されたのは今回が初めてという。

また、米国中央軍は現地時間32日午前2時過ぎに、ルビーマー号が紅海で沈没したとX(旧ツイッター)に投稿した。米中央軍によると、この貨物船には約21,000トンのリン酸アンモニウムが積まれており、沈没によって紅海の環境リスクを引き起こしていると指摘した。

画像 船舶の沈没に関する米中央軍のX(旧ツイッター)でのコメント画面

船舶の沈没に関する米中央軍のX(旧ツイッター)でのコメント画面

フーシ派による紅海航行中の商船への攻撃が継続していることを受け、紅海航路を回避する動き(2024年1月10日記事参照)は2月も続いた。IMFと英国オックスフォード大学が共同で開発し、衛星からの情報を基に船舶データを提供する「ポートウオッチ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」によると、2月1日から25日にかけてスエズ運河を通過する船舶の推定積載量が前年同期に比べて56%減少する一方、南アフリカ共和国の喜望峰を通過する船舶の推定積載量数が前年同期に比べてほぼ倍増していることが明らかになった。

直近では、アラビア半島南西端とアフリカ東部の間のバブ・エル・マンデブ海峡を通過する船舶数外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは、3月1日までの7日移動平均で前年同期比59%減少し、積載量では同時期と比べて65%減少した。7日移動平均の船舶数は29隻、前年同時期は71隻だった。また、積載量ベースでは、7日移動平均の貨物積載量は168万メトリックトン(MT)、前年同時期は476万MTだった。

スエズ運河を通過する船舶数外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますも、3月1日までの7日移動平均で前年同期比40%減少し、積載量では同時期と比べて51%減少した。7日移動平均の船舶数は40隻、前年同期は67隻だった。積載量ベースでは、7日移動平均の貨物積載量は220万MT、前年同時期は448万MTだった。

一方、喜望峰を通過する船舶数外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは、3月1日までの7日移動平均で前年同期比2倍に増加、積載量では同時期と比べて77%増加した。7日移動平均の船舶数は81隻、前年同時期は40隻だった。積載量ベースでは、7日移動平均の貨物積載量は692万MT、前年同時期は390万MTだった。

フーシ派を巡っては、米軍と英軍が2024年1月以降、フーシ派の拠点を攻撃している(2024年1月25日記事参照)。

イスラエルとハマスの衝突の詳細についてはジェトロの特集を参照。

(中溝丘)

(イエメン、ベリーズ、米国、イスラエル、パレスチナ、英国、エジプト、南アフリカ共和国)

ビジネス短信 0bab07359849ba55