米商務省、AI安全研究所コンソーシアムの設置発表

(米国)

ニューヨーク発

2024年02月09日

米国のジーナ・レモンド商務長官は2月8日、人工知能(AI)安全研究所コンソーシアム(AISIC)の設置を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。安全で信頼できるAIの開発と普及を支援するため、AI開発者と利用者、学術界、政府・産業界の研究者、市民社会組織を結びつけることを目的としている。

商務省の発表によると、AISICは「AIの安心、安全で信頼できる開発と利用に関する大統領令」(2023年11月1日記事参照)で優先事項として示したレッドチーム(注1)、能力評価、リスク管理、安全・セキュリティー、合成コンテンツの電子透かし(注2)に関するガイドラインの策定などに貢献する。AISICには200以上の企業や団体、大学、自治体が参加している(注3)。企業では、アップルやIBMといった大手企業から、オープンAIやアンソロピックなどの新興AI企業も参加している。レモンド商務長官は、安全基準の設定とイノベーションエコシステムの保護という2つの重要な目標の達成のために、バイデン大統領はあらゆる手段を駆使するよう指示したとした上で、「AISICは、まさにそのために設立された」と述べた。

商務省はまた、前日の2月7日に国立標準技術研究所(NIST)に設立された米国AI安全研究所(AISI)の幹部人事を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。AISIの初代所長には、国家経済会議(NEC)で大統領特別補佐官(経済政策)を務めるエリザベス・ケリー氏、最高技術責任者(CTO)には、NISTのAI最高顧問のエルハム・タバシ氏が就く。AISIは前述のAIに関する大統領令に基づき、2023年11月に新設されると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますされており、カマラ・ハリス副大統領が大統領令に沿って実施する具体的な取り組みの1つとしても取り上げていた(2023年11月6日記事参照)。今回発表されたコンソーシアムは、このAISIの下に設置される。

(注1)サイバー攻撃を模擬的に実施して、対処の訓練をする演習。

(注2)データやファイルに著作権者や使用許諾先といった情報を埋め込む技術。著作権の保護や不正コピーの検知などに用いられる。

(注3)参加リストは商務省のウェブサイトPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)参照。

(赤平大寿)

(米国)

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