ケニアビジネスフォーラムを開催、日本企業によるケニアでのビジネス事例を紹介

(ケニア、日本)

調査部中東アフリカ課

2024年02月13日

2024年2月6日から9日にかけて、ケニアのウィリアム・ルト大統領が訪日した。ルト大統領は2022年9月に就任して以来、大統領としては今回が初めての訪日となる。

大統領の訪日に合わせ、ジェトロは2月8日、東京において日本企業とケニア企業など約200人が参加した「ケニアビジネスフォーラム」を開催した。フォーラムにはルト大統領に加え、ムサリア・ムダバディ内閣筆頭長官兼外務・ディアスポラ担当長官、レベッカ・ミアノ投資・貿易・産業長官、エリック・ルト・ケニア商工会議所会頭、キャロル・カリウキ・ケニア民間セクター連合最高経営責任者、約40社のケニア企業代表らが出席した。日本側からは、辻󠄀清人外務副大臣、吉田宣弘経済産業大臣政務官、日本企業などの関係者らが出席した。

写真 歓迎あいさつをするジェトロ石黒理事長(ジェトロ撮影)

歓迎あいさつをするジェトロ石黒理事長(ジェトロ撮影)

開会に際し、ジェトロの石黒憲彦理事長は、2016年にナイロビで開催されたTICAD6、さらに2022年に同じくナイロビで開催された日本アフリカ官民経済フォーラムを経て日本企業のケニアへの進出が飛躍的に増加したとした上で、両国関係はさらに発展する可能性を秘めており、鍵になるのは両国企業間のパートナーシップの強化だと述べた。

写真 開会あいさつをする辻󠄀外務副大臣(ジェトロ撮影)

開会あいさつをする辻󠄀外務副大臣(ジェトロ撮影)

辻󠄀清人外務副大臣は、2023年に両国の外交関係樹立から60周年を迎えたことを紹介し、ルト大統領の2013年のTICAD5以来、約10年ぶりの来日(当時は副大統領)を歓迎した。さらに、オルカリア地熱発電所などのクリーンなエネルギー分野と人材育成分野に日本が深く関わっていることを例として、日本とケニアのパートナーシップは質を追求する段階にあり、法と民主主義にのっとった、自由で開かれたインド太平洋の実現を両国で築き上げていきたいとした。

続いて、ケニアで事業を展開する日本企業3社が、ケニアでの取り組みを紹介した。豊田通商は、ケニアにおけるグリーン・エネルギー・バリューチェーンの構築に向け、再生可能エネルギーの発電から送配電、電力の使用まで広く取り組むとし、特に電力の使用では、プラグインハイブリッド車、バッテリー車、燃料電池車などを使い分ける「マルチパスウェイ」のラインアップを拡大したいとした。住友商事は、ケニアの通信会社サファリコムなどと合弁により2022年からエチオピアで通信事業を行っている。加えて2023年からは、ケニアを中心に普及しているサファリコムのモバイルマネー「M-PESA」(2023年9月1日記事参照)のサービスをエチオピアでも開始し、同じくケニアを中心に金融サービスを提供する「M-Kopa」(2019年7月31日付地域・分析レポート参照)を通じて、e-コマース、eモビリティ、保険、日本のアニメの普及へも活用していきたいと語った。双日は、ケニアにおいてリーズナブルで安心・安全かつ栄養価の高い食品を供給するため、タイの即席麺製造企業、ケニアの消費財製造大手企業と2023年から開始した即席麺の製造販売事業を紹介した。ケニアのパートナー企業の販売網を活用し、スピーディーな販売拡大を実現できているとした。

写真 覚書(MoU)交換式の様子(ジェトロ撮影)

覚書(MoU)交換式の様子(ジェトロ撮影)

フォーラムの中盤では、日本貿易保険(NEXI)とケニア財務省の間で締結された、NEXIの貿易保険を活用したケニア政府による資金調達の検討や、ケニアにおける産業開発・グリーン成長・社会課題解決およびケニアにおける日本企業の事業活動促進の協力強化を約束する覚書(MOU)、「サムライ債を含む協力に関する覚書」が披露された。

(吉川菜穂)

(ケニア、日本)

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