EU、CSRDにおけるセクター別・域外企業向け欧州持続可能性報告基準(ESRS)の採択を2年延期

(EU)

ブリュッセル発

2024年02月13日

EU理事会(閣僚理事会)と欧州議会は2月7日、企業持続可能性報告指令(CSRD)に基づく欧州持続可能性報告基準(ESRS)のうち、セクター別とEU域外企業向けの基準に関し、採択期限を2年間延期することで暫定的に合意した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。対象企業が、第1弾として採択されたセクターにかかわらず適用されるESRSに基づく報告への対応に注力できるよう、セクター別および域外企業向けESRSの新たな採択期限を2026年6月末とする。

CSRD(2022年12月1日記事参照)は、大企業と上場中小企業に対し(2024年2月6日記事参照)、環境権、社会権、人権、ガバナンス要因などに関する報告を義務付けるもので、ESRSに基づき報告することが求められる。セクターにかかわらず適用されるESRS(2023年8月3日記事参照)は2023年12月25日に施行され、一部の大企業は2024年1月以降に開始する会計年度から同ESRSに基づく報告が義務付けられている。

CSRDは、セクターにかかわらず適用されるESRSとは別に、セクター別や域外企業向けに適用されるESRSを策定することを規定する。セクター別ESRSは、セクターにかかわらず適用されるESRSではカバーしきれていないセクター特有の事項について開示を求める基準だ。一方、域外企業向けのESRSは、CSRDの対象となる日系企業を含むEU域外で設立された企業に対する基準だ。

なお、CSRDの対象となる域外企業の報告義務の開始時期に変更はなく、2028年1月以降に開始する会計年度分から適用される。

(吉沼啓介)

(EU)

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