タイとスリランカ、FTAに署名

(タイ、スリランカ)

バンコク発

2024年02月08日

タイのプームタム・ウェーチャヤチャイ副首相兼商務相とスリランカのナリン・フェルナンド貿易・通商・食料安全保障相は2月3日、スリランカのコロンボでタイ・スリランカ自由貿易協定(FTA)に署名外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。タイのセター・タウィーシン首相兼財務相とスリランカのラニル・ウィクラマシンハ大統領が立ち会った。タイ商務省貿易交渉局(DTN)の発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、同FTAは2024年内に発効する見通し。

スリランカ商業局のウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますには、FTAの内容が掲載されている。構成としては14章立てとなっている(冒頭の規定および一般的定義、物品貿易、原産地規則、税関手続きおよび貿易円滑化、貿易の技術的障害、衛生植物検疫措置、貿易上の救済、サービスの貿易、投資、知的財産、経済協力、透明性、紛争解決、制度に関する規定と最終規定)。オーソドックスな内容で、近年のFTAによく見られる電子商取引章や政府調達章などは含まれていない。

物品貿易の原産地規則PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)をみると、完全生産品・原産材料のみから生産される品目ではない場合、原産性の判断基準として付加価値基準(QVC)40%以上、または関税番号変更基準(HSの上位4桁レベルの変更)を求めている。他方、品目別規則PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)をみると、QVCが25%以上や、35%以上などでも原産性が認められる品目もあり、タイが締結している他のFTAではあまり見られないユニークな部分も確認できる。

セター政権下で署名した初のFTAに

FTA推進を掲げるセター政権にとって、スリランカとのFTAは、政権発足後に初めて署名されたFTAとなる。発効されれば、タイにとって15番目のFTAになる。また、タイが締結する南アジア地域の国とのFTAとしては、インドに次いで2番目となる。他方、スリランカはこれまで南アジア域内におけるFTAや特恵貿易協定(PTA)を有しているが、ASEANの中ではシンガポールとFTAを締結しており、ASEAN加盟国としてはタイが2番目のFTAパートナーになる見込みだ。

DTNによると、両国は相互に、公平に、物品貿易の85%超について市場開放するという。関税減免スケジュールは発効から16年間の予定。スリランカ側は、発効時(即時)に4,000品目を超えるタイからの輸入品について関税を撤廃する(自動車・同部品、肥料、人工皮革、化学製品、紙・パルプ製品、電気機器、イワシ・サーモンの缶詰、動物飼料、冷凍エビ、生きた牛・水牛、銀製品など)。

サービス貿易では、タイの事業者は50のサービス分野で、スリランカにおいて100%出資で事業を運営することができる。例として、ホテル・レストラン、海運、保険ブローカー、フランチャイズ、通信、環境関連サービス、広告、経営コンサルタントなどが挙げられている。投資については、タイの事業者は35業種について100%の出資が認められる。例えば、食品加工(果物、野菜、豆、イモ)、繊維製品(手織物を除く)、自動車・同部品、電気製品、医薬品、医療・歯科用品の製造などが挙げられている。

ただし、スリランカでは外資の出資割合が制限されていない業種も多い。制限業種の場合でも、スリランカBOI(投資委員会)からの承認により上限比率を超えることが可能とされる。今般のFTAによる活用メリットについては、発効後の協定内容と既存のルールをよく確認し、比較検討する必要がある。

(北見創、シリンポーン・パックピンペット)

(タイ、スリランカ)

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