クアラルンプールで現地消費者向け試食提供イベントを開催、日本産水産品をPR

(マレーシア、日本)

クアラルンプール発

2024年02月05日

ジェトロは126日から28日にかけてマレーシア・クアラルンプールで、日本産水産品を現地消費者向けに試食提供するイベント「Japanese Seafood Fest 2024」を開催した。所得水準が向上し、日本産農林水産品・食品の輸出額も増加するマレーシアで、さらなる日本産水産品の消費拡大を目的として実施。クアラルンプール市内の日系ショッピングモール「ららぽーとBBCC」において開催し、3日間で延べ2,000人以上が参加した。

会場では、水産品に関する簡単なクイズに答えた来場者に日本産水産品の試食を提供した。試食はホタテ(生・ゆで)、マグロ、ハマチ、カキ、サバの5種類6品目。また、マグロ解体ショーに加え、巻き寿司(ずし)のワークショップの実施や日本の水産品に関する情報パネルの展示を通じて、消費者の理解促進を図った。

写真 開会式には50人弱のメディアやキーオピニオンリーダーが訪れた(ジェトロ撮影)

開会式には50人弱のメディアやキーオピニオンリーダーが訪れた(ジェトロ撮影)

写真 マレーシアでは体験型イベントが人気。総勢100人以上がワークショップに参加した(ジェトロ撮影)

マレーシアでは体験型イベントが人気。総勢100人以上がワークショップに参加した(ジェトロ撮影)

マレー系の来場者を中心に、生魚(刺し身)の経験がない人が多く、しめ鯖(さば)やゆでたホタテがより受け入れられていた。他方で、「生の風味と海の香りに驚いた」「これを機に日本食レストランで刺し身を食べたい」「日本食レストランは高級で頻繁には行けないため無料で試食できてうれしい」とのコメントも寄せられ、マレーシアの消費者にとってはまだ珍しい日本の新鮮な水産品を味わう機会提供となった。

写真 SNS投稿を見て来たという人や通りすがりの買い物客が参加(ジェトロ撮影)

SNS投稿を見て来たという人や通りすがりの買い物客が参加(ジェトロ撮影)

写真 展示パネルで日本産水産品クイズの答えを探す来場者(ジェトロ撮影)

展示パネルで日本産水産品クイズの答えを探す来場者(ジェトロ撮影)

本イベントは、オンライン販売とも連携。イベント会場で販売ブースを設けた、水産品を含む日本食品の販売店モチヤの電子商取引(EC)サイト「MOCHIYA Fine Food Store」では、2月18日まで日本産水産品のプロモーションを実施する。イベント会場で配布した割引券を利用して購入が可能で、家庭での消費拡大を促す。また、外食での消費拡大に向けて、クアラルンプール市内にある日本産食材サポーター店(注)のマップを来場者に配布した。

東京電力福島第1原子力発電所のALPS処理水放出をめぐって、マレーシアでは日本から輸入される高リスク食品(例:冷凍・冷蔵魚・海塩、生のりなど)に対し監視が強化される動きがあった(2023年8月23日記事参照)。今回のイベントで連携した水産品大手輸入事業者のセンドイチ・シーフード(Sendo Ichi Seafood)によると、輸入自体は問題なくできているとのこと。また、試食提供やワークショップに協力した現地日本食レストラン「鮨吉」によると、一時期は売り上げが減少したものの、現在は回復傾向にあるという。本イベントの来場者からも、ALPS処理水に対するコメントや不安の声が寄せられることはなかった。日本の財務省の貿易統計によると、2023年の日本からマレーシアへの魚介類および同調製品の輸出額は前年比16.0%増の43億6,900万円で、ALPS処理水の放出などを受けて伸び率が減速する中でも、2桁増を維持している。

(注)日本国外にある、日本産食材や酒類を使用/販売している、レストラン/小売店を「日本産食材サポーター店」として認定する制度がある。詳細はジェトロのウェブサイトを参照。

(加峯あゆみ)

(マレーシア、日本)

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