連邦経済競争委員会、政府によるイベルドローラ発電所買収条件を提示
(メキシコ)
メキシコ発
2024年02月19日
メキシコ連邦経済競争委員会(COFECE)は2月15日、メキシコ政府によるスペインの電力事業大手イベルドローラの13カ所の発電所の買収(2023年4月6日記事参照)について、理事会が同買収を承認する条件を決定したと発表した(COFECEプレスリリース2月15日付)。COFECE理事会は13カ所の発電所を買収するメキシコ・インフラストラクチャー・パートナーズFF(MIP)と国家インフラ基金(FONADIN)に対し、(1)買収した発電所を電力市場で(電力庁:CFEから)独立した形態で運営すること、(2)機微で戦略的な情報が他の競合相手に共有される事態を避けることを条件とした。
(1)については、具体的に次の条件を付けた。
- FONADIN、あるいは同関係者の出資持ち分は51%までに制限する。同比率以下にするための期間は今後24カ月以内とする。
- 発電所運営に関する決定を行う責任者として、独立した専門家を代表取締役に任命する。
- 発電所運営に関する決定が株主による議決、あるいは機関投資家や独立した取締役員が関与するかたちで決定されるための体制やメカニズムを構築する。
- 発電所の運営に責任を持つ人間が独立性を持ち、利益相反がないかたちで運営する体制やメカニズムを構築する。
(2)については、具体的に次の条件を付けた。
- 機微な戦略的情報の競合相手との共有がないことを検証して保障するコンプライアンス担当オフィサーを任命する。
- 発電所を運営する執行役員や責任者が他の市場参加者(競合先)の役職を同時に保持することを禁止する。また、直近4年間に公務員だった人間については、執行役員や運営責任者に任命できない。
これらの条件の有効期限は10年とし、COFECEが定期的に順守状況を検証する。条件を受け入れて買収を実現した後にその不履行が確認された場合は、連邦経済競争法第127条に基づく制裁を適用する。
政府はCOFECEの承認を歓迎
今回のCOFECEによる決定により、政府がイベルドローラから買収した発電所はCFEとは独立したかたちで運営することが求められ、CFEに統合することは当面できない。それでも、政府はCOFECEの承認を歓迎している。大蔵公債省は2月15日付でプレスリリースを出し、COFECEから買収承認されたことを歓迎した。13カ所の発電所は市場の競争環境を保持するかたちで運営されるが、消費者にとっても便益を与えるとしている。また、発電能力における国の割合を54%以上にするという目標を達し、今日のニアショアリングの流れの中で、発電という戦略的分野で国がリーダーシップを回復することができるとコメントしている。
(中畑貴雄)
(メキシコ)
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