ホーチミンで日本産水産物の商談会実施、調理法や料理例も紹介

(ベトナム、日本)

ホーチミン発

2024年02月07日

ジェトロは123日と25日に、ベトナムのホーチミン市内のレストランで、日本産水産物の商談会を実施した。当地の流通業者や飲食店関係者など2日間で計37のバイヤーが参加した。輸入卸会社とレストランが協力し、バイヤーに対して日本産水産物の調理法や食べ方の解説、和風と洋風料理での試食提供を行った。

ジェトロによる日本産水産物の商談会は、ベトナム輸出支援プラットフォームの活動の一環として、20238月からの東京電力福島第1原子力発電所のALPS処理水の海洋放出に伴う一部の国・地域による日本産水産物などの輸入停止(2023年8月24日記事2023年8月25日記事参照)を受け、日本産水産物の緊急支援事業として実施したもの。当日は会場のレストランに各水産品の展示スペースを設けたほか、バイヤー向けにALPS処理水の安全性について説明も行った。

23日の商談会では、ベトナム輸出支援プラットフォーム協議会コアメンバーで、日本のすしチェーン大手で輸入卸しも営む、ちよだ鮨(すし)の店舗で、東北産水産品をメインとしたすしや刺し身などの和食メニューを提供した。取り扱い魚種は、宮城県産のマグロやサンマ、青森県産のホタテや養殖サーモンなどが並んだ。

写真 展示された青森県産養殖サーモン(左)と宮城県産サンマ(右)(ジェトロ撮影)

展示された青森県産養殖サーモン(左)と宮城県産サンマ(右)(ジェトロ撮影)

写真 自ら包丁を持って宮城県産マグロを調理する、ちよだ鮨の川口未央海外事業部/商品本部長(ジェトロ撮影)

自ら包丁を持って宮城県産マグロを調理する、ちよだ鮨の川口未央海外事業部/商品本部長(ジェトロ撮影)

25日の商談会では、在越福島県人会会長の村上正明氏が経営する日系レストランのIL CORDA(イル・コルダ)と連携し、福島県産水産品をメインとした洋食メニューを提供した。取り扱い魚種は、同県いわき市の水カレイやヒラメ、相馬市のアンコウやスズキなどが並んだ。また、今回の魚種の仕入れをした、ふぃっしゅいんてりあ(東京都東村山市、注1)の林剛生代表取締役社長がALPS処理水の安全性に関する説明を行った。

写真 試食提供した洋食メニュー(ジェトロ撮影)

試食提供した洋食メニュー(ジェトロ撮影)

商談会に参加したバイヤーからは、「日本産水産物の新鮮さなど、質の高さを再認識した」「すしと刺し身はベトナム人もよく食べている日本食だが、日本の魚を洋食メニューで食べるのは新鮮だった。すしと刺し身以外の食べ方、料理方法を知ることができて良かった」「ALPS処理水の安全性について説明を聞き、厳しい検査態勢を敷いた上で、安全基準を満たしたものだけ出荷していることがよく理解できた」といったコメントが寄せられた(注2)。

ジェトロの農林水産物・食品国・地域別マーケティング基礎情報によると、ベトナムの日本食レストラン数は約2,570店、そのうちホーチミン市で約1,220店(2023年6月時点、ベトナム国内のレストラン情報を掲載するウェブサイト「Foody.vn」参照)。ホーチミン市では「Omakase」(お任せの高級和食コース)を含め、コース料理のみを提供する形態も徐々に増えており、ベトナムでの日本食の裾野は広がりを見せている。

(注1)ふぃっしゅいんてりあ(東京都東村山市)は、主に水産物の輸出販売を行うとともに、ハノイ市にあるベトナム法人から、ベトナム国内の飲食店などに活魚・鮮魚・冷凍加工品の配送を行う。2023年11月にはハノイ市にあるレストランで福島県産食品展示会を主催した。

(注2)ALPS処理水放出後、ベトナムでの日本産食品輸入販売への影響について、ジェトロが当地の日本食レストランや卸売業者にヒアリング(2023年10月時点)を行った結果、影響は限定的だった(2023年10月5日記事参照)。

(児玉良平)

(ベトナム、日本)

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