2023年の上海市のGRP成長率は5.0%
(中国)
上海発
2024年02月05日
中国の上海市統計局が1月28日に発表した2023年の経済概況によると、同市の域内総生産(GRP)の実質成長率は前年比5.0%となった(添付資料表参照)。
産業別にみると、製造業を中心とする第二次産業は前年比1.9%増で、新エネルギー車や半導体関連の製造業などの牽引により、2022年の1.6%減からプラス成長に転じた。また、経済成長の牽引役である第三次産業も6.0%増と、2022年(0.3%増)より大きく成長した。
消費動向を表す社会消費品小売総額は前年比12.6%増と、新型コロナウイルス感染拡大で打撃を受けた2022年(9.1%減)の反動で2桁成長になった。業種別にみると、卸売・小売業は11.1%増、ホテル・飲食業は33.3%増と、前年と比べて大きく改善した。
対内直接投資(実行ベース)は前年比0.5%増の240億8,700万ドルとなった。投資額上位3カ国・地域のうち、香港は5.1%減の174億2,400万ドルで最も多く、2位のシンガポールは1.6%減の19億3,200万ドル、3位の日本は2.8倍の10億1,700万ドルとなった。2023年末時点で設置された多国籍企業の地域本部は65社増の956社、外資系R&D(研究開発)センターは30カ所増の561カ所に上った。
貿易総額(人民元ベース)は前年比0.7%増で、うち、輸出は1.6%増、輸入は0.1%増といずれも微増にとどまった。主要輸出先をみると、日本向けは6.5%増、香港向けは15.6%増だったが、EU向けは1.0%減、米国向けは11.8%減と分かれた。
新型コロナウイルス感染症の影響で経済活動が一時停滞した2022年のマイナス成長からの反動もあり、総じてプラス成長に転じたものの、不動産市場の低迷や消費マインドの悪化などもあり、市政府が年初に定めた成長率目標の「5.5%以上」には届かなかった(2023年1月31日記事参照)。
2024年のGRP成長率目標は「5%」
上海市政府は1月27日に開かれた記者会見で、2024年の実質GRP成長率を前年比5%とする目標を明らかにした。今後、厳しい外部環境が上海の景気回復の足かせになる可能性を踏まえ、5.5%以上とした2023年より低い目標設定にした。一方、市政府は外資誘致の拡大に向け、土地取得やエネルギー消費、環境評価、融資などでの利便性を高めるほか、産業のグリーン化、デジタル化、イノベーションなどにおいて外資企業の進出を支援すると強調した。
(劉元森)
(中国)
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